Google News が新聞社に対して与えたのと同じ種類のダメージを、今度は YouTube がテレビ局に対して与えるかもしれない……そんな記事が New York Times に掲載されています:
■ Now on YouTube, Local News (New York Times)
肝になるのが、今年4月に YouTube に導入された新機能"News Near You"。IPベースで位置を把握し、そこから半径100マイル(約160キロ)圏内のローカルニュース(過去1週間以内のもの)を拾ってくるという機能だそうですが……すみません、いまちょっと触ってみたのですが表示させることができませんでした。ともかくこの機能があれば、映像版のローカルニュースを簡単に引っ張ってくることができるわけですね。
To date, nearly 200 news outlets have signed up with YouTube to post news packages and split the revenue from the advertisements that appear with them. In addition, Google searches now show YouTube videos alongside news articles, helping the videos reach a wider audience.
現在、200社近いメディアが YouTube と契約し、ニュース映像を提供すると共に表示される広告から得られる利益を折半している。それに加え Google は、検索結果の表示画面上でニュース記事と YouTube 動画が並べて表示されるようにし、動画がより広い人々にリーチできるように工夫している。
検索結果上に YouTube のアイコンが表示されることにはもう慣れてしまいましたが、言われてみればニュースを読もうと検索したときに、YouTube 上のニュース番組映像が結果に表示されて思わずそちらをクリックしてしまう……という体験もしているように思います。「YouTube にはニュース番組の最新コンテンツが揃っている」という状況が実現され、人々もそのように認識するようになれば、「ニュースを見に YouTube を開く」という行為も一般的なものになるかもしれません(日本ではまだまだ YouTube に最新ニュースコンテンツを提供しようというテレビ局は出てこないと思いますが)。
もちろん大手メディアが大喜びでニュースコンテンツを差し出すはずもないわけで、そこで狙いがローカルニュースの分野になり、それを促進するための"News Near You"機能なわけですね。これまた理想論ですが、ローカルに特化した小さなテレビ局(「局」である必要すらないかもしれないことが、記事後半で解説されます)が次々に Google と契約、"News Near You"の価値が高まって徐々に「ニュースを見に YouTube へ」というパターンが強化されてゆく……そんなシナリオを描いているのかもしれません(ちなみに「半径160キロ」という現在の範囲設定は、参加するメディアの増加に合わせて狭くする計画とのこと)。
さらに話は進み、この「YouTube 版 Google News」に素人が参加する可能性が語られます:
In the future, more of the News Near You could come from people who do not report the news for a living. As the protests in Iran continue to demonstrate, citizens are able to provide much of the spot video from breaking news, even though they may lack the objectivity of professionals.
The new iPhone includes a video recording capability with a “send to YouTube” button, suddenly making it simple and fast to upload clips.
Rachel Sterne, the founder and chief executive of the citizen journalism site GroundReport, said the feature “trains laymen to be reporters.” And YouTube says it is developing tools to automatically spotlight those citizen videos as they come in.
将来的には、News Near You に登場するコンテンツはレポーターとして生計を立てているのではない人々から提供されるようになるかもしれない。イランでの抗議活動が示しているように、市民たちはプロのような客観的視点を持ち合わせていないものの、重要な映像を提供する能力を持っている。
新しい iPhone には、ビデオ撮影機能と「YouTube に投稿する」ボタンが備わっており、撮影した映像を即座にアップロードできるようになっている。
市民ジャーナリズムサイト GroundReport の創設者であり、最高責任者の Rachel Sterne は、この機能によって「素人がレポーターへと訓練されるだろう」と述べている。また YouTube は、そういった市民によるビデオが投稿された際、自動的にスポットライトが当たるような仕組みを開発中であると説明している。
ますます「メディアは仕事というより趣味になるだろう」という状況ですが。もちろんこういった仕組みが機能する分野は限られているとはいえ、将来的には YouTube がニュースメディアとして捉えられる傾向が強まっていくのではないでしょうか。
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