いつも優れたインフォグラフィクスを披露してくれる、New York Times のマルチメディアセクションですが、最近もこんなコンテンツがアップされています:
■ The Jobless Rate for People Like You (New York Times)
タイトルは「あなたと同じ境遇の人々の失業率は?」といったところでしょうか。副題には「不況による影響は均等ではない」とあり、人種や世代の違いによって、失業率が異なることがほのめかされています。
例えば以下は、「白人」「男性」「45歳以上」「大卒以上」を指定した場合の失業率の推移:
ご想像の通り、歴史的に全体の平均値(グラフ中央部の少し濃くなっている線)よりも常に低い位置にあり、現在でも4.1%の低水準に留まっています。それでは「黒人」「女性」「15歳から24歳」「高校を卒業していない」を指定すると:
こちらはまったく逆に、平均よりずっと高いことが分かります(右端のスケールが変化していることに注意)。現在の失業率は36.8%と、先ほどの高学歴な白人中高年層と比べ、30ポイント以上の差が出てしまっています。
こちらは「ヒスパニック」「女性」「15歳から24歳」「高校を卒業していない」を指定した場合。2番目のグラフを「黒人」から「ヒスパニック」に変えただけですが、失業率は依然として高いものの、黒人女性ほどではないことが分かります(ただ黒人女性が2007年からほとんど同じ失業率だったのに対し、ヒスパニック女性の場合は2008年以降急速に悪化しつつあるようですが)。
ということで、恐らく誰もが体感的には理解していたことだと思いますが、このようにインタラクティブなグラフになることでより可視化されると。最近日本でも失業率や格差といった問題が話題になっていますが、ニュースサイト等で示されるのは1つのグラフだけで、結局議論がかみ合わないということがありますよね。そして一般のネットユーザーが条件別のグラフを作り、ようやく理解が深まる――という流れを経験されたことがあるという方も多いのではないでしょうか。その意味で、こういった New York Times のような取り組みをしてくれるニュースサイトが、日本でも増えてくれることを期待してしまった次第です。
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