いよいよ各社から Twitter 本が出版され、「Twitter コーナー」が設置してある書店も増えてきました。昨日は日経BPさんの『Twitterの衝撃 140文字がビジネスからメディアまで変える』と、津田大介さんの『Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流』を一挙に入手。先に『Twitterの衝撃』を読み終えたので、感想などを少し。
Twitterの衝撃 140文字がビジネスからメディアまで変える 日経BP社 出版局 日経BP社 2009-11-05 売り上げランキング : 980 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は林信行さん(@nobi)や小林弘人さん(@kobahen)、そして津田さん(@tsuda)など、10人の方々による共著。それぞれ専門分野から Twitter を捉えられていて、多面的に「Twitter という現象」を考えることができる一冊になっています。例えば第9章「Twitterを支える技術の現在と将来」は、その名の通り Twitter をインフラ面から考察している記事で、この秋~冬にかけて出版される Twitter 本の中では異色な存在でしょう。
しかも第5章では、武田徹さんがこんなことを書かれています:
イギリスではエイプリルフールにいかにユーモアあふれる冗談ニュースを報じられるかが毎年競われているが、2009年の英国ガーディアン紙は4月1日に「メディア環境の変化に対応し、紙の新聞発行を全面的に放棄。Twitterという急速に普及中の一種のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だけで報道を続ける」と宣言したという。保守的なジャーナリズムにとって Twitter とは、まだエイプリルフールのネタのレベルなのだ。
この頑なまでの保守性を筆者はむしろ頼もしく思い、ニヤリとしてしまう。可能性は感じるが、Twitter を報道のメディアにしていくにはまだ何重ものハードルがあるだろう。
とのこと(ちなみにガーディアン紙のエイプリルフールネタについてはこちらで解説してあります)。さらにマスメディアを非難しながら、Twitter のようなCGM系サイトの情報を鵜呑みにしてしまう態度を「信仰」と表現したりしています。この辺りからも、本書が単に Twitter という流行に乗ろうとしているのではなく、目の前の現象について冷静に判断しようとしていることが伺えるでしょう。
またその意味で、本書は決して「Twitter 入門書」ではありません。Twitter そのものについて語られているのは、第1章と第2章ぐらい(もちろんこの2つの章で、Twitter とは何かという基本的な情報が網羅されています)。残りの第3章から第10章までは、「Twitter や Twitter 的なものが登場したこの世界が、どのように変化しつつあるのか」を語ることがテーマとなっています。Twitter というフレームを通して見ることで、メディアやジャーナリズム、ウェブサービスのあり方や働き方などなど、Twitter ではなくむしろ私たちの社会自体について考えさせられる一冊になるはず。従って、本書は「Twitter なんて始めるつもりはないね!」という方も注目しておくべきでしょう。
ただ残念だったのは、全体で約200ページしかないため、個々のテーマの掘り下げが浅くなってしまっていること。できるならそれぞれの章を独立させて、津田さんのように1冊の本にして欲しかった、と感じてしまいました。いや、もしかしたら既にそんな計画が進行中だったりして……なんてね。進行中じゃなかったら、本書は他の出版社さんにとって、次の Twitter 本企画のタネになる一冊かも!?
それから僕にとってはライバル本なので、もう1つ攻撃してしまいましょう(笑)。せっかくの Twitter 本なのに、各著者の Twitter アカウント一覧がありませんでした。林さんや津田さんのように、Twitter を活用されている方々が揃っているのですから、アカウントを載せておけば良かったのに……スペースを取るような情報でもないですから、第2版でぜひご掲載を。
【その他、これまでに読んだ Twitter 本】
■ 【書評】『仕事で使える!「Twitter」超入門』
■ 【書評】『ツイッター 140文字が世界を変える』
■ 【書評】『Twitterマーケティング』
そしてもちろん、こちらもよろしくお願いします!
「ツイッター」でビジネスが変わる! Twitter Power 小林 啓倫 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-11-05 売り上げランキング : 760 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コメント