ボストン・グローブ紙が運営するウェブサイト"Boston.com"が、プログラマーやウェブデザイナー達が集まり、新しいウェブ/モバイルサービスの開発を競い合うイベント"Boston Hack Day Challenge"を開催するそうです:
■ Boston Hack Day Challenge: An open door to Boston.com (Nieman Journalism Lab)
今年の2月25日から27日にかけて行われるもので、参加者は48時間で新サービス(「ボストン在住者の生活を豊かにするもの」という指示が与えられています)を開発し、その優劣を競い合うというもの。開発時間中、参加者には飲食物が振る舞われ、さらに各種APIや専門家によるサポートも受けられるとのこと。最終的に優秀と認められたサービスについては、Boston.comのベータ版機能を紹介するページ"beta.boston.com"に掲載され、フィードバックを得た上でBoston.comの標準機能として採用される可能性もあるそうです。
日本で言えばさながら、朝日新聞が渋谷あたりで開発者を集め、asahi.comの新機能を生み出すイベントを開発するようなものでしょうか。ただこの種のイベントは最近のアメリカでは珍しいものではなく、連邦政府や州/市のレベルで開催する例が知られていますし、上記の記事でもニューヨークタイムズ紙が同様の企画(Times Open)を実施していることが紹介されています。さらに言えば、外部の力を利用して自らのサービス/製品/関心領域にイノベーションを起こす「オープン・イノベーション」という概念が数年前から具現化されるようになっており、その意味では決して珍しいものではないでしょう。
ただIT/ネットとジャーナリズムの融合という点については、最近注目が集まっているらしく、"journo-programmer"(ジャーナリスト+プログラマー)などという言葉もささやかれるようになっているようです(Dave Winerも先日の記事で触れていますね)。
ほぼ2年前、シロクマ日報の方で「新聞社がIT企業になる日」という記事を書いていました。ニューヨークタイムズ紙がウェブ上のコンテンツに力を入れていることに触れたものですが、この傾向が着実に広がっていることを、"Boston Hack Day Challenge"や"journo-programmer"は示しているのではないでしょうか。その意味で、単に新聞社がIT組織を充実させるというだけでなく、記者とプログラマーが同じチームで働くという組織が登場してもおかしくないのかもしれません。ただそのためには、ネットとジャーナリズムが融合した姿とは何か、どうかるべきかという問題の方を先に片付けなければいけないのでしょうが。
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