AR(拡張現実)の研究が始められた目的の1つに、機械の修理やメンテナンス作業などを行う技術者に対する情報提供、というものがあります。特殊なゴーグルをかけて機械の方を見ると、その上に作業手順が表示されて、「次に何をすべきか」が一目で分かるという訳ですね。SFなどでも登場する光景ですし、イメージしやすい概念ではないでしょうか。
というわけで、アイデアとしては「AR史」の初期から登場していた作業情報提供という使用法。これまでは研究所や先進的な工場の中でしか実現されていなかったのですが、ついにここまで来た、というのがよく分かるのが次の映像です:
独Metaio社が、自社のモバイルARブラウザ"Junaio"上で実現した「トナー交換手順を示してくれるAR」。もともとMetaio社はBMWやフォルクスワーゲンなどの企業と共に、作業情報提供系のARを研究してきたのですが、いよいよ一般消費者が手にするアプリのレベルでそれを実現してきたわけですね。
詳しい話が次の記事で解説されています:
■ Augmented reality helps you fix your printer (VentureBeat)
実は来週バルセロナで行われるMobile World Congressで発表されるデモなのだとか。上のYouTube動画の中でも少し解説されていましたが、特徴点を検出することで映像内の物体(この場合はプリンター)を把握するマーカーレス型のAR技術を採用しているようです(動画の解説を読むと、"mobile markerless tracking algorithm optimized for dual-core chips"と名付けられてるみたいですね)。
残念ながらこの機能、リリースされているバージョンのJunaioではまだ追加されていないとのこと。実際の話、現実のサービスとして提供するためには今後いくつかのハードルを越えなければならない(どの企業のどの製品と提携するか?問題が起きたときの責任はどの企業が取るのか?等々)と思いますが、技術的にはこんなSF的な世界がすぐそこまで来ているわけですね。
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