今朝の読売新聞に「政治家 ネットがお好き」というタイトルの記事が。残念ながらネット上では公開されていないので、(だいたい予想はできるかもしれませんが)簡単に内容をまとめておくと:
- 管首相から自発的な離党を進められた小沢一郎・元民主党代表が、フリーランスやネットメディアの記者らの団体が主催する記者会見に臨んだ。最近では小沢元代表に限らず、ネットの動画サイトで自らの主張を訴える政治家が目立つ。
- 谷藤悦史・早稲田大教授によると、政治家が発言を途中で編集され、切られることを嫌う傾向は世界的に見られるという。記者が重要性を判断して発言を編集する新聞やテレビのニュースと違って、ネットメディアは政治家が時間を気にせず話せるようになっているため。
- しかし政治家が批判的な質問を避けて、一方的な情報発信が続くなら問題。
こんな感じ。そして記事の最後は、こんなコメントで締められています:
西垣通・東大教授は「政治家を身近にし、発言を一気に広めるネットは情報発信の手段として有効だが、民主主義の道具としてはまだ熟していない。本来は複雑なはずの政治の問題が深く議論されないまま、一部の意見だけが波のように増幅されて伝わる危険を忘れてはならない」と話している。
西垣教授がどのような意図で「ネットが民主主義の道具としてはまだ未熟である」と語ったのか、残念ながら「編集」されてしまってる以上判断できません。しかしある程度は否定できないところもあるでしょう。例えば最近では、Twitterを通じたデマ拡散のリスクなどが頭に浮かぶところです。
しかし未熟だからこそ、熟すための努力を続けるべきではないでしょうか。そしてニコニコ動画を通じたインタビュー配信などは、そうした努力の一例と言えるでしょう。他にも(休刊扱いになっていますが)「ザ・選挙」など、様々な取り組みが行われています。
海外に目をやると、他ならぬ新聞社自体が「ネットを民主主義の道具として発展させる努力」を行っています。例えばNew York Times紙のサイトにはこんなコーナーが:
■ Congressional Bills and Votes (New York Times)
米連邦議会での議事進行・投票状況を簡単に確認できる、データベース的なページ。例えば以下は、最近の上下院での投票状況を表示したところ:
さらに個々の投票を選ぶと、さらに詳しい投票結果(法案の全文、どの州のどの議員が賛成/反対どちらに回ったかなど)を確認することが可能。これがあれば、ごく簡単に!とまではいかなくても、連邦議会で何が行われいるのかを詳しく把握することができるでしょう。
また以前シロクマ日報の方でも取り上げましたが、同紙が今年の一般教書演説(米国で施政方針演説に相当するもの)を解説するために立ち上げたサイトも非常に良くできています:
■ 米「一般教書演説」公式サイトに見る、国民を参加させるための工夫 (シロクマ日報)
「ネットは未熟だ、政治に活用するのはリスクが多い」と批判するのは簡単です。しかしNew York Times紙のように、どうやったらネットを政治に活用できるのか、自ら行動してみることも必要ではないでしょうか。日本の2大新聞と評される読売新聞だからこそ、ネット批判一辺倒だけという姿勢は無責任ではないかと感じています。
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