"Viewdle"という企業に聞き覚えはないでしょうか。いまから4年近く前、百式でこんな紹介がされています:
■ 動画からリアルタイムで顔認識する『Viewdle』 (100SHIKI)
なんだかすごそうなテクノロジーなので勢いでご紹介。
Viewdleでは映像からリアルタイムで顔認識を行う技術を開発しているようだ。
これが実現されれば、特定の人だけが映っている映像だけを検索する、といったことができそうだ。
ということで、今となっては目新しさは失われてしまったものの(念のため、彼らを否定しているわけではありません)、顔認識技術を使って何かをしてやろうという企業なわけですね。
で、そのViewdleから、ついに恐れていたアプリがリリースされる可能性があるとのこと。スマートフォンとFacebookと顔認識技術を組み合わせ、カメラを向けただけで写った人物のFacebookアカウントを表示させる、つまりそこに居るのが誰なのかを教えてくれるアプリだそうです:
■ This is the Creepy, Super Cool Future of Smartphones & Social Networks (ReadWriteWeb)
何はともあれ動画をどうぞ:
Viewdle - Photo and Video Face Tagging from Viewdle on Vimeo.
Viewdle社が「現在開発中」のスマートフォンアプリの映像。リアルタイムで映像を解析し、AR(拡張現実)風にFacebookの書き込みを重ね合わせてくれています。
あくまでもイメージ映像なので、ここまで精度が良い可能性はほぼゼロでしょう。仮に精度が良かったとしても、Facebook上にクリアな顔写真が公開されていなければ映像を判別する「基データ」がないわけですから、これまた望むような結果は得られません。しかし、実名+顔写真が蓄積されたデータベース――Facebookがそこにあるわけですから、彼らが目指していることもまったくの夢物語というわけではないでしょう。
『AR-拡張現実』の中でも紹介していますが、これに近いアプリとしてTATの"Recognizr"が挙げられるでしょう。ただしこちらはユーザーによる手動設定で、顔写真とソーシャルメディアのアカウントを紐付けてやる必要があります。しかしそれでも発表した当時は、メディアから一斉に「ストーカー支援ツールだ!」と非難されて大変だったそうですから(まぁ仕方ありませんね)、今回のViewdle社のアプリが本当にリリースされたら大騒動になるかもしれません。
ただ。仮にViewdleのアプリがデモ映像ほどの精度を持っていなかったり、非難を浴びて開発をストップさせてしまったとしても、いつかはこのアイデアを現実のものとする開発者が出てくるでしょう。別に「実名は危険だ!顔写真も出さないように!」と叫ぶつもりはありませんが(個人的な意見ですが、これからますますネット上でリアル人格を隠し通すことは難しくなると思います――善し悪しは別として)、ネット上に置いた実名と顔写真のセットが、このような使われ方をする可能性があることを把握した上で、一人一人が行動を決めなくてはならない時代がやって来るのかもしれません。
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はじめまして。時折読ませていただいています。この記事を読んで伊藤計劃さんの『ハーモニー』という小説での設定のことを連想しました。今のところ、こういったお話からは、怖いという印象を受けてしまいます。
投稿情報: 読む人 | 2011/02/21 12:03