相変わらず日本では選挙活動におけるネット利用が認められていませんが、米国では既に常識。バナー広告からソーシャルメディアのクチコミに至るまで、様々な形でネットが活用されています。そうなると気になるのが、ある書き込みがユーザーの本心なのか、それともプロパガンダに近い宣伝なのかという点――ということで、ジョージア工科大学が過去のデータを分析し、ツイッター上のプロパガンダを見分ける4つの特徴を発見したとのこと:
■ Four Telltale Signs of Propaganda On Twitter (Science Daily)
ジョージア工科大学のNick Feamster准教授らによる研究結果について(ちなみにオリジナル論文のPDFはこちら)。彼らは2010年に行われた連邦議会上院議員選挙のネバダ州での状況と、2011年の債務限度額引き上げをめぐる議論の状況を分析。具体的には、それぞれのテーマに対して設定されたハッシュタグ(#nvsen と #debtceiling)のついたツイートを集め、両方合わせて約10万件のツイートを分析にかけたそうです。
その結果分かったのが、プロパガンダ・ツイートに見られる行動上の特徴で、次の4つに整理できるそうです:
- 大量のツイートが短時間に投稿されている
- リツイートばかりでオリジナルのコンテンツが少ない
- 他人が投稿したツイートを間髪入れずにリツイートしている
- 無関係に見えるユーザーが、同じトピックについてほとんど同じメッセージをほぼ同時に投稿している
同じような文章を、短時間で大量にツイートすればトレンドに登場する確率が高まります。そうなればしめたもので、仮に用意してある宣伝用アカウントにフォロワーが少なくても、一気に大量のユーザーにリーチすることができます。しかし1つのアカウントだけでそれをしてはスパムであることが明らかになってしまいますし、反論ツイートが大量にリツイートされて「人気のツイート」として上位表示されてしまったら逆効果。そこで上記のように、複数のアカウントを用意してリツイートするというテクニックが使われているのでしょう。
もちろんある主張が一時的にブームになっている(という状況が作り出されている)からといって、その主張がすぐに受け入れられるわけではありません。一人ひとりが情報の中身を吟味して、正しいと思えば支持すればいいし、納得できなければ反対すればいいだけの話でしょう。しかし周囲にいるのがまったくの他人であっても、彼らが一定の意見を支持していると人間はその意見に同意してしまうという「同調効果」があることが心理学の実験から明らかになっていますし、そもそも提示されたイシューが重要な論点であるとは限りません(触れられたくない話題から目をそらすために別の論点を持ち出すというのはよくある話です)。上記のような挙動をするアカウントやツイートを目にしたら、少し身構えて情報を判断する方がよさそうです。
とはいうものの、本当に大勢の人々から支持される主張もあるわけで、全て疑っていては陰謀論の世界になってしまいますし……結論としては、やはり「誰が主張しているのか」「どの程度支持されているのか」といったメタ情報にとらわれず、是是非非の態度で個々の問題を判断してゆくしかないのかもしれません。
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オリジナル度がなく、同じような情報が大量にある場合は、機械的と捉えるのですね。
オリジナル度があったら、大量化するのは無理だから当たり前の結果。
逆にオリジナル度があるのに、大量化できるノウハウがあれば、宣伝は成功するということなのか。
投稿情報: タッチペン店長 | 2012/06/07 19:30