ちょっと面白かった話なのでご紹介。ロシアの文豪トルストイが、自身の著作の中で、米バーンズ&ノーブル社の電子書籍端末「Nook(ヌック)」の登場を予言していたようです:
■ Nookd (Ocracoke Island Journal)
ブログ主であるフィリップ・ハワードさんがNookでトルストイの『戦争と平和』を読んでいたところ、その中にNookdという単語が登場したのだとか(しかも何度も)。何と、トルストイは未来を予知していたのですね!
……というわけではもちろんありません。実際はこういうことだったようです:
As I was reading, I came across this sentence: "It was as if a light had been Nookd in a carved and painted lantern...." Thinking this was simply a glitch in the software, I ignored the intrusive word and continued reading. Some pages later I encountered the rogue word again. With my third encounter I decided to retrieve my hard cover book and find the original (well, the translated) text.
For the sentence above I discovered this genuine translation: "It was as if a light had been kindled in a carved and painted lantern...."
(戦争と平和を)読んでたら、こんな文章に出くわした。「それはあたかも、彫刻がほどこされたランタンがヌックされた(Nookd)ような……」。単にソフトがバグっただけだろうとその時は思って、無視して先に進んだんだ。すると数ページ先で、またこのおかしな単語が出てくるじゃないか。3度目を目にしたところで、ハードカバー版を引っ張り出して、原著(翻訳版だけど)の文章を確認してみることにした。
さっきの文章、本来の翻訳はこんな感じだった。「それはあたかも、彫刻がほどこされたランタンに火が灯された(kindled)ような……」
そう、恐らく(先行して発売されていた)アマゾンのKindle版『戦争と平和』をNook版に移植する際に、出版社が"Kindle"という単語を"Nook"という単語に一括置換してしまったのでしょう。たまたま単語(動詞)としての"kindle"が文中に使われていたために、このような面白状況、もとい不幸が起きてしまったわけですね。てか本文と書籍情報のファイルって別にしていないの……?
かく言う自分も長い文書やレポートを作成している時、つい一括置換を手抜きして使ってしまい、気づいたら変更すべきでない箇所まで変更されていたという経験が何度もあります。デジタル技術には長所もあれば短所もある……というより、あらゆる技術がもたらす恩恵は、使い方次第で悪夢にもなり得ると言うべきでしょうか。ともあれ皆様もご注意ください!
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