適切なフィードバックを与えることで、機械自らに正しい答えを考えさせる機械学習の世界。先日もMUNI(サンフランシスコ市営鉄道)が機械学習を応用した新しい監視カメラシステムを導入し、映像から自動的に不審者を割り出す試みを行っているというニュースがありましたが、Wired UKの記事によれば、今度はゲームをプレイしている映像を見せるだけで、必勝法を編み出すことのできるプログラムが開発されたとのこと。
開発したのはパリ・ディドロ大学(第7大学)のコンピュータ科学者、Łukasz Kaiser氏。四目並べ(Connect 4)や五目並べといった簡単なパズルゲームを遊んでいる映像(勝ち負けがつくパターンや引き分けで終わるパターンなど数種類)を用意し、それを画像解析技術を通じて機械に学習させることで、たった2分間の映像だけで勝ち方を考えさせることができるのだそうです。
しかも面白いことにこのプログラムは、IBMのディープブルーやワトソンといったスーパーコンピュータを必要とせず、4GBのRAMが搭載されたラップトップがあれば走らせることができるとのこと。もちろんルールが簡単なゲームであればという制約はつきますが、ウェブカム付きのPCの前でしばらく人間同士で遊んでいれば、何も教えなくても機械がゲームに参加してくれる――なんて未来がやってくるかもしれないわけですね。
もちろんこうしたプログラムの可能性は、ゲームの分野にとどまりません。例えば「自動車がぶつかることなくスムーズに流れてゆけば勝ち」という前提で交通整理の場面を観察させれば、優秀な交通整理ロボットが誕生する(しかもものの数分で!)可能性があります。あるいは優秀なシェフの横にしばらく立たせて、絶妙な分量や調理時間などの秘伝を盗ませたり。様々なアイデアが浮かぶのではないでしょうか。
そうなると伝統的な日本の徒弟制度というか、「秘伝は師匠から盗め!」的な指導スタイルが逆に効率的な世界が到来したりして。一足飛びにスカイネットの世界が到来する可能性は少ないと思いますが、いろいろと大きな変化をもたらしてくれそうな技術です。
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