自分用にメモ。昨年11月の「OMOTE 3D SHASHIN KAN」が起爆剤となって、「何らかの手段で個人の3Dデータを作成、自分フィギュアを作る」というサービス/キャンペーンが登場しつつあります。気づいたものを簡単にまとめ。
従来型
■ マイフィギュア
フィギュアにしたい人の顔写真(前・後・左右の 4 枚 + 左右斜め 45 度 2 枚)を送ると、「職人が手作業で」デフォルメされた頭部を作成し、あらかじめ用意されているボディー(複数パターンあり)と組み合わせてフィギュアを作成してくれるというもの。結婚式の記念品といった目的で、類似サービスは以前からあった。ただし当然ながら3Dデータを作成しているわけではないので、今回のまとめの対象外。
■ 自分魂
バンダイのサービス。2009年登場(既に受注終了)。正面から撮影した顔写真を送ると、それを「フェイスベース」と呼ばれる立体パーツに印刷、出来た部品を使って「仮面ライダー1号」もしくは「シャア・アズナブル」になった自分のフィギュアを作成してくれるというもの。これも厳密には3Dデータを作成しているわけではないので、今回のまとめとはちょっとズレるかも。
写真館型
2012年11月24日~2013年1月14日まで、期間限定で表参道にオープンしていた施設。手持ち3Dスキャナで15分ほどかけて利用者を全身スキャン、データを整えた上で3Dプリンターでカラー出力。Sサイズ1万6000円~Lサイズ3万2000円という料金設定だった。「撮影より1ヶ月から2ヶ月での納品」という予定だったが、反響多数+リソース不足により一部遅延が発生している。
■ 青山3Dサロン
「3Dフィギュアが作れる世界初の常設3Dサロン」と銘打っている。3Dスキャナで約10分で全身スキャン、データを整えた上で3Dプリンターでカラー出力。Sサイズ(約15cm)5万400円(基本価格)~Lサイズ(約25cm)10万5000円(基本価格)という料金設定。現時点では「スキャニングからフィギュアお届けまでの期間:約2ヶ月」となっている。また焼き増しも可能だが、「撮影データの保存期間は撮影日から6ヶ月間」とのこと。
ロイスエンタテインメントが2013年7月から大阪・心斎橋に開設しているスタジオ。特殊な「技術的解決策」を使うことで、3Dスキャナのスキャン時間を2分間に短縮。データを整えた上で、フルカラーで3D印刷する。「撮影当日から、お客様のお手元に届くまでに約1ヶ月ほど」とのこと。料金はベーシックコース(約15cmのフィギュア)4万2000円、七五三の”七”コース(7歳児の身長の1/10程度の高さのフィギュア)3万7000円などコース別になっている。また焼き増し可能だが、撮影データの保存期間は撮影日から6ヶ月間。
道玄坂のFabCafeにて、土曜日に開催中のイベント(完全予約制)。3Dプリンターショールーム「CUBE」に設置されている、世界に1台の3D スキャナ「bodySCAN 3D」で、全身を6秒でスキャンする。その後3Dプリンター「CUBE」で約2時間かけてフィギュアを出力。フィギュア素材はPLA限定で、色は選べない(単色)。全身3Dスキャン、データモデリング、フィギュア出力がセットで9800円。別途25,000円で、スキャンしたSTLデータを持ち帰ることができる。
■ 株式会社みやもと
まだサービス開始前なのですが、読売新聞栃木版に記事がありました。宇都宮市の印刷会社で、国の中小企業向け補助金制度から1000万円の助成を受け、約1700万円の費用をかけて3D Systems社のProJet660Proを導入(日本初、世界でも4台目の石膏積層式フルカラー3Dプリンターとのこと)。今後10分の1サイズ5万~6万円、15分の1サイズ3万~4万円という価格設定で自分フィギュアサービスに乗り出す予定。
「OMOTE 3D」をヒントに、ドイツ・ハンブルクに開設されたスタジオ。1回で360度の撮影が可能なシステムを開発し、スキャンをほぼ瞬時に終わらせることに成功したとのこと。出力はフルカラーで、料金設定は約15cm(約300ドル)~33cm(約1,700ドル)。
写真送付型
■ FOTOFIG
前後左右4枚の写真を撮影して送信することで、そこから3Dデータを作成、フルカラーでフィギュア化してくれる(素材には石膏を使用)。料金は3Dデータ作成のみが3万9800円、3Dデータ+15cmフィギュア4万9800円~3Dデータ+25cmフィギュア7万4800円となっている(焼き増しは15cmが1体9800円~25cmが1体3万4800円)。納期は通常1~2ヶ月。
■ Petfig
ペットの写真を送付するだけで、3Dモデルを作成してフィギュア化してくれるサービス。モデル化はプロが担当し、3D印刷はニューヨークにある工場で行われ、サンドストーンと呼ばれる砂が素材として使われる。モデル化作業の進捗や注文状況により前後するものの、発送まで16営業日程度とのこと。サイズは7~9cm程度で、料金は2万5200円(2体目以降は1体1万2600円)。
出張型
■ クロネコ3Dフィギュアサービス
ヤマトホームコンビニエンスが2013年7月10日~8月20日の期間限定で開催していたサービス(品川区/港区/新宿区のみで実施)。クロネコヤマトのスタッフが依頼者の元へ訪れ、手持ち3Dスキャナで全身スキャン(所要時間10~20分)、その後データを整えた上で3Dプリンターでフルカラー出力する(素材は石膏)。1/12サイズ3万1500円~1/8サイズ5万2500円という料金設定だった。
キャンペーン型
無印良品とANAによるキャンペーン。選ばれた1組の家族にANAからエアチケットが提供されると共に、出発する空港で家族全員を3Dスキャン。データを整えてフィギュアとして出力し、旅先でプレゼントするとのこと。既に応募期間は終了しており、今年12月に実施される予定。
■ コカコーラ"Mini-Me" (参考記事)
イスラエルで実施されたキャンペーン。専用アプリから応募すると、当選者を専用ラボに招待して3Dスキャナで全身スキャン、フィギュア化してくれるというもの。大きさはコカコーラが新発売するミニボトルとほぼ同じサイズ、とのこと。
余談
などなど。あくまでも自分が気づいたものだけですので、他にもあったらあしからず。こうして見ると、スキャンの手間(専用施設に出向かなくちゃいけないの?)や時間(15分もじっとしてなくちゃいけないの?)をどう改善するか、またデータ加工から出力・発送までのタイムラグをどう縮めるかを皆さん工夫されているようですね。
さらにこんな記事もありました:
■ 3D Printing Service×MOUSE COMPUTER 3Dスキャンの膨大なデータ、3Dプリンタ業務を支えるマウスコンピューター (CGWORLD.jp)
上記のような自分フィギュア・サービスの流行で拡大している、データ加工等の「バックエンド作業」を手がけている株式会社アイジェットの久米原氏に対するインタビュー。久米原氏はこんなことを仰っています:
現在、3D写真館のバックエンドサービスは国外含め7拠点手がけていますが、各地から毎日オーダーが入ります。当初1台だったZPrinterも現在は3台まで増設し対応しています。3D写真館の案件だけでも、6名のオペレータが各拠点から送られてくる3Dスキャンデータを一日3~4体処理をしている状況です。おかげさまでフル回転で3Dプリントの需要に対応させてもらっています。
他の業者の方々がどのような状況か分かりませんが、このようにフル稼働しているのであれば、スキャンから納品まで1~2ヶ月かかるというのも納得ですね。それに今後類似サービスや、無印良品やコカコーラのようなキャンペーンも増えてくるだろうし……海外の業者を活用するなど、この辺をどう乗り越えるかも自分フィギュア・サービスの今後を左右する要因なのかも。
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