今日は日本で46年ぶりの皆既日食ということで、Twitter も盛り上がっていましたね。僕は東京にいたので、曇り空を見上げるよりも Twitter のタイムラインを見ていた方が面白いほどでした(結局、僕自身は肉眼では日食を確認できず)。で、その時に活用していたのが、"#eclipse"と"#eclipse2009"という2つのハッシュタグです:
■ #eclipse - Twitter Search
■ #eclipse0907 - Twitter Search
日本でもすっかり定着したハッシュタグ。主催者のいるイベント(特にIT系)の場合、事前にタグがアナウンスされることも増えてきました。また公式にアナウンスされなくても、その場にいる Twitterer たちが「暗黙の了解」的に1つのタグを使うようにするというケースも生まれています。で、今回の日食ではこの #eclipse と #eclipse0907 を使う人が多かったわけですが、ふと「なぜ皆このタグを使うようになったんだろう?」という疑問を抱きました。2つに分割されてしまっていますが、別に主催者がいたわけではなく、皆が一緒の場所にいたわけでもないイベントで、たった2つのタグに集約していくということは驚くべきことではないでしょうか。
僕が見ていた限りですが、当初は #eclipse および #eclipse0907 が主役だったわけではなく、いくつか「タグ候補」が出ていたはずです。で、ちょっと検索してみたところ、以下のようなメッセージを見つけました:
.@t_witter_fan 今日の日食のハッシュタグいろいろあるようです。盛り上がってる所を探すのも楽しみのひとつかな。#eclipse0907 #nisshoku #solareclipse #eclipse
(@macandiphone)
この書き込みがあったのは今日の午前7時ぐらい。この時点では、まだ #nisshoku や #solareclipse といった候補があったわけですね。また午前10時ぐらいまでは、上記のようにいくつかのタグを併記して発言するというケースがちらほらと見られます。タグが絞り込まれるまでは候補を羅列して様子見、といった状態でしょうか(当然ながら Twitter には文字数制限があるため、人気の無いタグに文字数を割くよりは1~2個の人気タグを付ける方が良いわけですね)。
その後、#nisshoku は残りのタグほどの支持を得られず、使う人が減っていきます。#solareclipse も同様ですが、面白いことに海外ではこのタグを使う人が多数存在しています。Twitter Search を使えばメッセージの言語を選択できますが、ウェブサイトからタグをクリックした場合には全言語が出てしまうので、それを嫌がって他のタグを使うようになったのかもしれません。
ということで、本当は正確な統計データを取った上で考察すべきなのですが……あくまでもざっくりと見たレベル、という前置きの上で、いくつか仮説を立ててみたいと思います:
1. 「人気のタグ」が合理的に判断されている
ハッシュタグを使おうとするモチベーションは何か。いろいろ考えられると思いますが、有力なものの1つは「自分の書き込みを他人にも見てもらいたい」という気持ちでしょう。だとすれば、いまからタグを書き込もうとしているユーザーは、少しでも多くの人々に注目されるように「どのタグが人気なのか」を合理的に判断しようとするはずです。Twitter Search を使って、各々のタグにどれくらいヒットがあるかを確認したり、「日本のユーザーに拾われやすい」タグを判断したり……その結果、最初はごくわずかだった人気の差が次第に強化され、最終的に「人気のタグ」へと集約されていくのかもしれません(逆に言えば、#nisshoku が人気タグになる可能性もあった)。
2. 「有力ユーザー」の使うタグが選択される
これは当然の話ですが、例えばフォロワー数が1万人のユーザーが #eclipse を使った場合、「#eclipse」が使うべきタグの候補として示されるわけですね。彼/彼女の選択が「ほんの思いつき」程度のものだったとしても、タグが集約される上で大きな影響を与えるでしょう。今後有力ユーザーは「ハッシュタグ・セッター」としての役割も果たすようになるかもしれません。
3. 集約サービスが力を持つ
buzztter やふぁぼったーに登場する単語、発言が人気タグを左右する、という可能性です。これも合理的な判断があったわけではなく、たまたま最初にあるタグを使うユーザーが多かった、もしくは多くのユーザーから「ふぁぼられる」発言にたまたまあるタグが付いていた、というわけですね。2.の「有力ユーザー」が集約サービスに置き換わっただけ、と考えられるかもしれません。
4. 書きやすさ分かりやすさ、格好良さ
純粋に言葉の力が影響している、という可能性です。例えば「#solareclipse」と書くより、「#eclipse」の方が書きやすい上に(他のユーザーから)分かりやすく、文字数もセーブできます。また「#nisshoku」という日本語よりも「#eclipse」の方がカッコイイ、という心理が働いたかもしれません。しかし今回に限っていえば、「#eclipse0907」は「#eclipse」に集約されてしまうことはなかったわけで、単に「書きやすい」「語呂が良い」というだけで人気のタグが決まるわけでもなさそうです。
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ということで、今回も仮説を書きっぱなしで終わりにしてしまいますが。もちろんこの4つしか要因が考えられないということではないですし、それぞれの要因が絡み合いながらハッシュタグが集約されていくのではないかと思います。
ハッシュタグは Twitter 上で情報伝達が行われる上で大きな力を持っていますから、形成過程を研究してマーケティング等に役立てようという企業が出てくるかもしれません。そのうち大量のデータを取得して、「自然発生的に生まれるハッシュタグにおいて、それを決定する上でどのような要素がどれだけ重要なのか?」を調査する研究者も出てくるといいなーなどと他力本願なことを願っています。
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