アクティブユーザーの60%を失ったとかで騒がれているGoogle+ですが、タイミング悪く?Googleのエンジニアが誤ってGoogle+批判をGoogle+上で展開してしまうという出来事が起きています:
■ Google Engineer: “Google+ is a Prime Example of Our Complete Failure to Understand Platforms” (SiliconFilter)
Steve YeggeというGoogleの社員が、前職Amazon.comに関する長文ポストを投稿、その中にGoogle+を含むGoogle批判が行われていたというもの。本人の弁明によれば、Google社員のみに公開されるようサークルを設定したはずが、「深夜でしかもGoogle+の操作に慣れていなかったので」外部にも公開してしまったとのこと。現在オリジナルのポストはYegge氏自身の判断で削除されていて、シェアされたバージョンのみを読むことができます(上記SiliconFilterの記事でもコピーを閲覧可能)。
ではGoogle+についてどんなコメントがあったのかという点ですが、これが単なる愚痴レベルではなく、なかなか考えさせられる内容です。時間があれば全文チェックしてみて頂きたいのですが、主な部分を引用しておくと:
A product is useless without a platform, or more precisely and accurately, a platform-less product will always be replaced by an equivalent platform-ized product.
Google+ is a prime example of our complete failure to understand platforms from the very highest levels of executive leadership (hi Larry, Sergey, Eric, Vic, howdy howdy) down to the very lowest leaf workers (hey yo). We all don't get it. The Golden Rule of platforms is that you Eat Your Own Dogfood. The Google+ platform is a pathetic afterthought. We had no API at all at launch, and last I checked, we had one measly API call.
プロダクトというものは、プラットフォームが無ければ何の役にも立たない。もう少し正確に言えば、プラットフォームを欠いたプロダクトは、プラットフォームを土台にしたプロダクトの前に敗れ去る運命にあるんだ。
Google+は、この会社の経営陣から(やぁラリー、セルゲイ、エリック、ビック)一般社員に至るまで(よぅみんな)、プラットフォームに対する理解が欠けていることを示す典型例だ。みんな何も分かっちゃいない。プラットフォームを創ろうと思ったら、自分自身を実験台にすることが絶対条件なんだ。Google+プラットフォームなんて、後知恵が生んだつまらない産物だよ。リリース時点でAPIを一切公開していなかったし、僕が最後に見た限りでは、ごく僅かなAPIしか用意していない。
とか、それから:
Google+ is a knee-jerk reaction, a study in short-term thinking, predicated on the incorrect notion that Facebook is successful because they built a great product. But that's not why they are successful. Facebook is successful because they built an entire constellation of products by allowing other people to do the work.
Google+は脊髄反射の産物だ。浅知恵で、Facebookが成功したのは優れたプロダクトを開発したからだという誤った認識の元に開発されている。しかし彼らが成功した原因は別にある。Facebookは外部の人々も参加させて、プロダクトのエコシステムを築くことができたから成功したんだ。
などといった記述が。また最後の方には若干フォローがあって、
And also don't get me wrong about Google+. They're far from the only offenders. This is a cultural thing. What we have going on internally is basically a war, with the underdog minority Platformers fighting a more or less losing battle against the Mighty Funded Confident Producters.
それからGoogle+の件についても誤解しないで欲しい。ただ攻撃してるわけじゃない。これは文化の問題なんだ。いま社内で起きているのは要するに戦争であって、負け犬で少数派のプラットフォーム推進派が、カネも自信もあるプロダクト推進派に勝ち目のない戦いを挑んでいるというわけさ。
と訴えられています。要は「プラットフォームが重要なのに、何でまた『Google+』という単体のプロダクトしか見ないという過ちを繰り返すんだ!」という彼なりのフラストレーションといったところでしょうか。特に前職Amazon.comでの経験とどうしても比較してしまうようで、「AWS(aws.amazon.com)を見て見ろ!凄ぇぞ!」的な一文まで(笑)。
彼が本当に「操作を誤って」外部に公開してしまったのか(それはそれでGoogle+のUIにケチをつけることになるとも考えられますが)、あるいは注目を集めるために「操作を誤ったと装って」意図的に公開したのかは分かりませんが、Google広報部は建設的な批判だと受け取ったらしく、Yegge氏の元には「別に検閲するつもりはありませんよー」との回答が来たとのこと。ただ前述のように、彼自身の判断で原文は削除されています。
個人的には、Google広報部にOKをもらっていたのであれば、元記事は削除しないで欲しかったと思います。というのもシェア記事の方には多数のコメントが付けられていて、深い洞察が行われているものも少なくありません。それこそまさに、レスポンスがスレッド形式でまとまるGoogle+の利点であり、さらにGoogle+を改善して行く原動力になる可能性があったと思うのですが……ともあれ、別にこれでGoogle+が終わってしまったわけではないですし、これからの反応に期待したいところです。
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