本日のCNETセミナー「次世代ウェブの検索サービスを探る」のまとめ(1)です(しかし(2)や(3)があるかどうかは僕のやる気次第です)。
まずは現時点までにWEB上にアップされているニュース記事はこちら:
マイクロソフト、「サーチの改革はまだ始まりでしかない」--CJICイベント(CNET Japan)
アスク ジーブスが語る「Web 2.0時代の検索サービス」--CJICイベント(CNET Japan)
ポータル大手6社が探るモバイル検索の可能性--CJICイベント(CNET Japan)
ヤフーが大転換する「ソーシャルメディア」の正体--第一歩はAPIの公開(CNET Japan)
【CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn】ブログ検索事業者が語る「ブログ検索市場の未来」(BroadBand Watch)
1日がかりのセミナーで、ポイントとなる部分が数多くあるのですが、一番強く感じたのが表題の「検索サービスのホームドクター化」という点です。
バーティカル検索エンジンの限界
今日のセミナーでは、今後の検索サービスの方向性の1つとして、何度かバーティカル検索が言及されていました。バーティカル検索サービスは限られた分野においては、オールラウンド型よりも役立つ結果を返してくれるものですから、確かに今後の発展が期待されるでしょう。このブログでも、TruliaやHealthlineなどの検索サービスを以前にご紹介しています。
しかしバーティカル検索エンジンが優れた結果を返してくれるからといって、必ずしも人々に利用されるとは限りません。そもそも自分が探そうとしている分野にバーティカルエンジンがあることを知らないかもしれないし、知っていたとしても「ツールバーに入ってるから、Googleで検索しちゃえばいいや」という心理が働くかもしれません。実際、TruliaとHealthlineのトラフィックをAlexaでチェックしてみると、リリース直後には注目を集めながら、その後はアクセスが伸び悩んでいることが分かります(以下はAlexaでの検索結果のスクリーンショット、クリックで拡大):
トラフィックが少ない=優れたサービスではない、ということでは必ずしもありません。バーティカル検索エンジンは「まず存在を認知させ、アクセスしてもらう」というサービス性能の優劣とは関係ない部分で、人々に働きかけなければならない、というハンディキャップを負っているのではないでしょうか。
オールラウンド型検索サービスの発展
「オールラウンド型検索エンジン」などという言葉は無いのですが、バーティカル検索エンジンの反対語だと思って下さい。イメージとしては、Googleや
Yahoo!、gooなどメジャーな検索サービスを指す概念として使っています。バーティカルの反対ならホリゾンタルというべきなのですが、現在のメ
ジャー検索サービスは単に分野を限定しないサイト検索を行うだけでなく、ブログ検索やQA検索など「メタ検索エンジン」的な要素を強く持っているため、
バーティカル検索サービスという言葉は使いませんでした。かといって「メタ検索エンジン」と言ってしまうと、単純にGoogleやYahoo!の検索結果
をごちゃまぜにして出力する検索サービス(コレやコレみたいな)のイメージがあるので、「オールラウンド型」という言葉を使っています。
最近のメジャー検索サービスは、まさに「オールラウンド型」と呼ぶのにふさわしい発展をとげています。個人的に最もオールラウンド型だと思っているのは、NTTレゾナントのgoo。ご存知の通り、gooは単純にWEB上のサイトを検索するだけでなく、様々なDBも含めた検索結果を返してくれます。例えばgooで「ヤフー」と検索してみると、以下のような種類の情報が得られます。
- ウェブ検索結果
- タウン情報
- サジェスト(ex. ガリバー旅行記の「ヤフー」という意味で検索した結果へのリンク)
- 企業情報
- プレスリリース
- 教えて!goo
- ブログ検索
などなど。様々な分野の情報を一括で引き出してくれるという点で、gooはメタ検索エンジンだと言って良いでしょう。実際今日のセミナーでも、NTTレゾナントの国枝学氏から「gooは一種のメタ検索エンジン」という趣旨の発言がありました(改めて録音していたわけではないので、語句の違いはご容赦を)。しかし単純に様々なソースからの情報を引き出すだけでなく、ユーザーの目的に沿うような形で加工・表示しています。
似たような機能は他の検索サービスでも実現されていますし、また今後その進化を目指すといった趣旨の発言も他社から聞かれました。バーティカルという形で分野を限定しない検索サービスにとっては、オールラウンド型に向かうのは生き残りのために必要不可欠なのではないでしょうか。
オールラウンド型サービスの「ホームドクター」化
ここから先は僕が勝手に感じたことなのですが、今後メジャーな検索サービスは「ホームドクター」のような位置を占めると思います。
ホームドクター化その①:検索行動の補助
今日のセミナーの中で、Yahoo!の井上俊一氏が「現在の検索サービスに足りないのはDiscoveryとRecoveryの機能」と発言されていました。今後のメジャー検索サービスは、人々がWEB上で最初に訪れる医者(サイト)として、「その人が何をしたいのかを見極めることを手助けする」という役割を負うように求められていくのではないでしょうか。
既にgooでは、gooサジェストとしてキーワードを先読みしてくれるような機能を実現されています。また多くの検索エンジンで、「関連キーワード」などといった形で絞込み機能が用意されています。こういった機能は今後ますます進化していくと思います。
ホームドクター化その②:専門医の紹介
今後、多くの検索サービスでメタ検索が行えるようになれば、個々の分野での検索結果の精度を上げていくことが求められるでしょう。そうなると、1社の力だけでユーザーの期待に沿うことは難しくなってきます。自身は「ユーザーのどこが悪いか(何を検索したいか)」を見極めて、その後専門医を紹介する(適切なバーティカル検索エンジンにクエリを投げる)といった行動を取る、一種の「バーティカル検索エンジンのポータルサイト」のような存在になる検索サービスが現れるのではないでしょうか。
これはバーティカル検索サービスのページへジャンプさせるという意味では必ずしもありません。APIなどを用いて、エンジン部分だけを利用・自社ページの中で結果表示ということも当然あり得るでしょう。
今日僕が気になったキーワードの中に、NEC前田宏氏の「モバイル検索は『検索ではなくナビゲーション』へ」という言葉があります。これはPCではなくモバイル検索について語った言葉ですが、僕はPCの検索エンジンも「ナビゲーター」のような役割を負うような気がします。バーティカル検索エンジンを直接利用するユーザーも増えるものの、一方で多くの人々は何でも頼れるホームドクター/ナビゲーターとしてオールラウンド型検索サービスを利用する--そんな傾向が生まれてくるのではないでしょうか。
Technorati tags: search engine, vertical search, goo
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