さすがに12月29日ともなると、電車はガラガラ、目新しいニュースもまるでなし、といった状況です。無理にブログ更新する義務も無いのですが、せっかくなので最近まとめているネタを。まとめている最中なので、特に結論などはありませんが。
<社内情報メディアには何がある?>
社内での情報流通を担うメディアとして、ブログに新たな注目が集められているわけですが、そもそも社内で情報はどのように伝達されているのでしょうか?まずパッと思いつくのは、
- 口頭
- 電話(内線/携帯電話)
- Eメール
- メッセンジャー
- 社内報
- 社内掲示板
- グループウェア(会議室予約、スケジューラー、BBSなどを含む)→この延長線上に?社内ブログ/SNSが位置する。
- テレビ/電話会議システム
- 朝礼/テレビ朝礼
といったところでしょうか。しかしこれらは主にフロー情報を扱うメディアです。ストック情報を扱うものを考えると、
- データベース(顧客DB、製品マスタなど専門的なもの。一部はグループウェアに含まれるのでしょうが。)
- 「共有フォルダ」内の電子ファイル
- ファイリングされている紙媒体の資料
- 社史
- 社員手帳(何それ?と思われるかもしれませんが、僕は以前居た会社で似たような資料が配布された経験があります。)
- アーカイブされた電子データ
- 社内で「生き字引」と呼ばれる人々
などといったところだと思います。これを2×2のマトリックスに置くとすると、「ストック/フロー」に加えて、どんな軸を置くべきでしょうか?
ここでは仮に、「デジタルかアナログ(リアル)か」という軸を置いてみます。というのも、この軸は「流通のされやすさ」という面に深く関係してくるからです。例えばデジタル・ディバイドの例を出すまでもなく、人によってデジタルを好むか、アナログを好むかには大きな差があることは言うまでもないでしょう。また基本的に、デジタル媒体上のデータは情報を探しやすいという面がある一方で、PCなど端末が無ければ扱えないという制約があります。従ってデジタルかアナログ(リアル)かという区別は、意外に重要だと考えています。
例えば「CtoCのビジネスで、お客様に提出する提案資料を作成する」というプロセスにおいて、どのような情報とメディアが必要になるか考えてみます。
まずどんな情報が必要かですが、
- お客様(法人)の基本情報
- お客様の最近のニュース
- 業界動向
- 提案のアイデア
- 提案資料の内容
- 提案資料のテンプレート
といったところでしょう。次にメディアを考えてみると、次のような表になります:
まだ提案に落とし込む前のアイデアを扱うための「Eメール」と「ブレインストーミング」、それらを通じて行われた会話を(一時的に)記録しておくための「社内ブログ」と「議事録」、さらに正式な提案としてまとめられた「提案資料(紙媒体)」と、それを保管しておくための「案件DB」、そんな構図になります。提案の構築に必要な情報は、「案件DB」や「社内ブログ」、場合によっては「Eメール」で扱われるイメージです。上の図ではあえてin/outのつながりを書かなかったのですが、それぞれが有機的に関連して、情報のやり取りが行われるでしょう。
こうして考えると、それぞれのメディアを他のメディアの代替とするのではなく、互いに補完関係となるべきであることが分かります。ある結果を生むために最適な「情報ポートフォリオ」とも言うべきものが考えられなくてはならないと思います。またそれぞれのメディアは各々違った目的を持ち、その効果測定は各々別の評価基準で行われるべきでしょう。
勝手な予想ですが、2006年には社内ブログ/SNSそのものについての研究や技術革新が進む一方で、その他のメディアとの関係性にも焦点が当てられると思います。特にデジタル/リアルをどう連動させるかといった、ナレッジマネジメントの分野では一般的な「メディアミックス」的な発想が要求されるようになるでしょう。その意味では僕も、来年はさらに研究範囲を広げていかなければと思っています。
なるほど、わかりやすいマトリクスですね。
この図をみると、フローとストックの中間的なメディアが無かったところにブログが登場して、社内情報共有の課題を解決するものとして注目された、ということが言えるかもしれませんね。
投稿情報: 丹野 | 2005/12/29 14:23
ありがとうございます。
iUG第2回でも指摘がありましたが、情報のフロー/ストックという面からブログを考えてみると、社内情報メディアとしてどう位置付けるかが把握しやすいと思います。
もう1つの軸を出したのは2×2マトリックスにしたかったからという本音もあるのですが(これで分類するのが好きなので)、利用シーンという観点を入れるには別の軸が必要かなと思ったので。「デジタル/リアル」だけでなく、「公式/非公式」とか「形式知/暗黙知」といった軸も考えられるかなと思います(しかしこの軸だと、「ストック/フロー」という軸とダブる部分が出てきてしまいますが)。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/29 14:33
年末のお勤めお疲れ様でした。社内情報というのをどう活用できるかというのが、会社のチカラとして評価される部分もあるかもしれませんね。ヒトのそれぞれのチカラを有機的に回路設計をおこなうことにより、おおきな価値を生み出すのだと思います。
>iUG第2回でも指摘がありましたが、情報のフロー/ストックという面からブログを考えてみると、社内情報メディアとしてどう位置付けるかが把握しやすいと思います。
フロー/ストックというのは、グループディスカッションで私が話していたことなのですが、プレゼンの段階でニュアンスがずれてしまっていて気になっていたところなんですよね(笑)ネットによる結合されたコミュニティにおいては、このストックという部分が特徴になると考えてます。擬似的なフロー型コミュニケーションをつくりだすための仕組みがネットコミュニティなのかなと。フロー→ストックという知識生産を行うためにもフローが必要なのだと考えているわけです…このあたりはまた別の機会にでも。
投稿情報: ヒロツ | 2005/12/29 20:21
フロー/ストックを考え出すと面白いですよね。最近さまざまなところでフロー/ストックの議論を目にしたので、もうちょっと深く考えてみないとと感じています。別の機会にぜひ。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/30 00:00
ストックとフローの間に中間概念というか、フローの蓄積である「ストリーム」っちゅうのを加えて三段階で是非。
事例を端的に示すと、Gmailのスレッド管理の感覚です。
もしくは一部のRSSリーダー。
投稿情報: SW | 2005/12/30 20:36