「私鉄時刻表」発刊--コンテンツ販売モデルはまだまだ改善される？

今朝の日経新聞から。日本初の「私鉄時刻表」が発刊されたというニュース：

「私鉄時刻表」を発刊--JTBグループ 全国の鉄道会社を網羅 （日本経済新聞2006年1月12日朝刊、29面）

全国の私鉄の時刻表を横断的に扱ったものとしては、紙媒体で初めてだそうです。 「大手や地方の私鉄から路面電車まで、全列車と全駅の時刻を曜日別に掲載。路線別の営業キロや、会社別の普通運賃や特急などの料金、 線名と駅名の読み仮名も収録した」とのこと。

こんな時刻表、今までに発売されていても良さそうなものですが。バスまで網羅した時刻表とか、 探せばもっと「あってもいい」書籍が見つかりそうです。またmashupではないですが、「地図情報やローカル情報などと融合した時刻表」 などというものも出てくるかもしれません。こちらは今でもあっておかしくないですが。

また時刻表ということで言うと、これほど「ばら売り」が適したコンテンツもないでしょう。 普通の人なら、普段通勤や通学で使う路線は決まっています。例えば「京王井の頭線で渋谷に行き、 東京メトロ銀座線に乗り換えて青山一丁目まで通っている」という人なら、井の頭線と銀座線の時刻表だけあればいいはずです。 この2つの時刻表だけを持ちやすいサイズで売ってくれたら、「紙媒体の時刻表を買ってもいい」という人は増えるのではないでしょうか。

時刻表も地図などと同様、ネット上のコンテンツ（時刻表で言えば 「駅探」のような乗り換え検索サービス）が「無料」と 「高い利便性」を武器に、紙媒体からシェアを奪おうとしている分野でしょう。ネットなら簡単に検索ができますから、鉄道マニアでもない限り、 あの分厚い本を家に置いておこうという人はいないはずです。mashupやばら売りといったネットの手法を駆使して、 ユーザーに提供する価値をより高く・ユニークなものにする努力が必要だと思います。

Comments

[投稿情報: p-article]

確かにいままでなかったというのが不思議ですね。こういう書籍としての時刻表というのは市場としてはどうなんでしょうね。書店でダイヤ改正時など平積みされているのをみかけることはあるのですが…
ただはっきり言えるのは、PCや携帯電話向けのネットサービスとは利用シーン・ニーズがまったく異なっているのかもしれません。反復的日常の行動のなかで、場所（利用駅）というパラメータに対して、時刻というのは変化しやすい値だと思います。その変化量のなかで一覧するという目的であれば、広告媒体としておなじみの各駅で配布する定期券に収まるサイズのアレで十分なのでしょう。駅についたら、改札やホームに時刻表は存在しているわけで、その情報をどのように発展させられるかということがポイントですね。時刻表が必要なシーンとして…
■次の電車何分かな？
■目的地には何時何分につく？
■何時何分に到着するには？
■乗換はどうすればいい？
■どの経路だと早く着く？
■終電は何時何分？
それぞれにおいて、自分のおかれている環境が変化しているのがわかります。さらに自分のいる場所が、駅の近傍の外、自宅やオフィス、電車の中など、そこでも条件や潜在的なニーズが変化しそうです。
「売れる（紙の）時刻表」…面白そうなテーマになりそうですね。
ネットにおけるサービスとしても新しい価値が生み出せるかもしれません。（長文失礼）

[投稿情報: アキヒト]

いえいえ、長文ありがとうございます。日本のブログも「本体よりコメントの議論の方がおもしろい」という状況になっても面白いと思うので・・・

紙媒体の時刻表ですが、自分でも記事を投稿した後で、「そうは言っても金出さないよな、紙の時刻表に」と思ってました。ただ駅で配ってるミニ時刻表も不便だし、かと言ってWEBの画面をプリントアウトして持ち歩くのも「？」だし、何かニーズを満たすスタイルがあると思うんですよね。

挙げていただいた「時刻表が必要なシーン」を見ると、ニーズとパラメータが複雑に絡み合っていることが分かりますね。だからこそWEBベースのものが利便性が高くなるのでしょうが、あえて紙ベースにこだわると、

■ 思い切ってニーズを限定する→『乗換マップ』
■ 資料性を高める→『私鉄時刻表』（日経の記事によれば、私鉄時刻表に路線別営業キロ・駅名よみがななどが含まれていることには資料性を高めるという側面があるようです。）

などという方向性が考えられるでしょうか。この流れで言えば、「終電だけをまとめた時刻表（すでにありそう）」や「中央線徹底解剖図鑑（ちょっと方向性がずれますが・・・）」みたいなコンテンツが考えられますかね。後は「遅延発生率」や「曜日別・時間帯別混雑率」などといった新しいデータを採用することを考えても面白いかもしれません。これはすぐにマネされそうだけど。

あと紙媒体から考えてみれば、やはりケータイが最も時刻表との親和性が高いと思います。アプリにしておいて、ボタン１つで「位置情報＋時間情報」に基づいた最寄り駅の直近30分時刻表を表示する、なんて機能があったら便利ではないでしょうか。MVNOも始まりますし、例えばJR東日本が

「ボタンを押すだけで、首都圏JR各線＋東京メトロの運行状況情報をゲット！さらにGPS内蔵で、最寄り駅からあなたの自宅までの乗換え案内も一発表示！」

なんてケータイを売り出しても面白いかも。