先日、Seth Godinのブログで「なぜ地球問題化への取り組みが遅れているのか?」という考察がありました:
The problem with "global warming" (Seth's Blog)
Seth's Blogなので「国際政治が云々」といった話ではなく、人々が抱くイメージの問題を取り上げています。曰く:
- 「地球温暖化(Global Warming)」という言葉が良くない。"Global"も"Warming"も良いイメージの言葉なので、例えば「大気の癌(Atmosphere Cancer)」などといった単語を使ってはどうか。
- イメージしにくい。問題の原因も見えないし、悪影響が出ている場面を目にすることもできないので、問題が身近に感じられない。
特に2番目のポイントについては、Sethはこう述べています:
Because you don't see your coal being burned (it accounts for more than 50% of US electricity) and because the stuff coming out of your car is invisible, and because you don't live near a glacier, it's all invisible.
この点に対する解決策の1つとして、"put a real-time mpg or co2 meter in every car and watch what happens"なんてユニークなアイデアも出されています。
長い前振りでしたが、この記事で紹介したかったサービスはこれ。今日の日経産業新聞で、路線検索サービス「ナビタイム」にCO2排出量表示機能が加わったというニュース:
路線検索サービス 都営バスを追加 -- ナビタイム CO2排出量表示も(日経産業新聞 2006年3月7日第2面)
タイトルから分かる通り、中心は「路線検索に都営バスも含めることが可能になった」というニュースなのですが、各ルートごとにCO2排出量の概算値も表示されるようになったとのこと。運営しているナビタイムジャパンは「チーム・マイナス6%」に参加されるとのことで、今回の機能追加もその一環として位置付けられているようです(参考記事:ナビタイムジャパン プレスリリース)。
この機能、リアルタイムではないですが、Sethの言う"put a real-time mpg or co2 meter in every car"に近いイメージではないでしょうか。路線検索の結果、2件のルートが表示された時に、「10分早く着くけどCO2排出量がものすごいことになってる」よりも「10分遅く着くけどCO2排出量がごくわずか」という方を選ぶ、ということが可能になるわけです。「見える化」によって人々の行動に影響を与える、という機能の好例ではないでしょうか。
ただCO2排出量だけだと、まだ環境負荷を具体的なイメージとして捉えることは難しいでしょう。例えば「同じ量のCO2を1時間で酸素に変えるために必要な樹木の数」を表示する機能や、「ログインして選択したルートを記録しておくと、過去に自分が移動中に排出したCO2排出量合計が計算できる」機能など、もっと危機感を煽るような仕組みがあると良いかもしれません。
コメント