今年の新入社員に「ブログ型」と名付けた人々がいるという話を以前したのですが(今年の新入社員は「ブログ型」?)、それに関連して、先日の日経産業新聞に2006年度新入社員に対して実施したネット調査の結果が載っていました:
■ '06フレッシュマン -- 「ブログ型新人」その本音は(日経産業新聞2006年4月7日第1面・3面)
調査結果自体もなかなか面白い内容だったのですが、ふと考えるきっかけになったのがリクナビの前川孝雄編集長のコメント:
ブログなどのネット利用は新社会人世代を特徴付ける大きな要因。ネットを通じ同世代の横の情報共有が進む一方で、忙殺されている管理職世代が更新の育成に力を割く余裕がないため縦の情報共有は進まない。
このままでは肥大化する同世代間の情報におぼれてしまう危険がある。
つまり若年層はブログ・SNSなどを通じてデジタル・ネットワークが形成されいるのに対して、管理職世代にはそういったネットワークが普及していないばかりか、管理職世代-新入社員世代をつなぐノードも少ないということですね。
ソーシャル・ネットワークには「ハブ」と呼ばれる存在があり、そこを通じて情報やらウワサ話やらウィルスやらいろんなものがネットワーク全体へと波及していくわけですが、どうやらハブ構造は2次元的ではなく3次元的に見なければならないようです。例えて言うならば、「バーティカル・ハブ」とでも言うべき存在があって、そのハブが異なる世代間の情報を交流させる役割を果たしている--そんな構造かもしれません。
ここでバーティカル・「ハブ」という言葉を使ってしまいましたが、実はバーティカル・ハブはハブではない可能性もあります。つまり同世代の人々とのつながりは少ないけれど、上司の世代と密にコミュニケーションしている人物--そんなイメージです。同世代間でハブとなる人物とは、必ずしもイコールではないかもしれません。逆に同世代の人々とのつながりが強い人物には、「バーティカル・ハブ」として年上世代の考えを流入する役割を果たすことが難しい可能性もあります。
新入社員世代のネットワークの中心となる「ハブ」と、管理職世代とのノードとなる「バーティカル・ハブ」が異なる存在だとしたら、社内で情報をどう流通させるかという戦略を考える際には注意が必要です。「ハブ」が新人層に情報を普及させることを期待して、彼らに情報を投下していたら、ハブが与えられた情報を理解して流通を開始する前に、「バーティカル・ハブ」経由で非公式な情報が新人層に流れていた・・・などということが起こるかもしれません。
と、そんなことは人事部系のお仕事をしている人ならとっくの昔に気付いていたことかもしれませんが。「社内SNS」というシステムが本格的に普及して、社内SNA(Social Network Analysis、ソーシャル・ネットワーク分析:関連記事「ナレッジ・マネジメントのインフラとしてのSNS」)の研究が進むようになったら、これまで経験的に感じられてきたことが明確になるかもしれません。
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