東京メトロをお使いの方、突然ですが最近こんなポスターを見かけませんか?
巨大な赤い犬が、「社内ではボリュームを下げてね」とお願いしています。この犬、クリフォードというのですが、何人くらいの方がご存知でしょうか?とりあえず詳細を知りたい、という方は以下のリンクをご参照下さい。
■ マナーポスターに「Clifford(クリフォード)」が登場します。(東京メトロニュースリリース)
実は「クリフォード」というのはアメリカの子供向けアニメ番組で、巨大だけど心は優しい真っ赤な犬が活躍するというストーリー。アメリカのアニメ番組としては、奇跡的に可愛いキャラクターが登場します。
「クリフォード」はアメリカでは非常に有名で、僕もボストンにいたころによく観ていました(ちょうど学校に出かける時間が放送時間とかさなっていたので)。マナーポスターに登場させるのに相応しい、教育的な内容の番組です。日本でもケーブルテレビ等で放映されていたそうなのですが、それほど日本で知名度があるとは思っていませんでした。なので駅でこのポスターを見かけたときはビックリしたのですが、なぜ地上波で放映されていないようなテレビ番組のキャラクターが、突然マナーポスターに登場したのでしょうか?個人的にすごく疑問なので、この場を借りて勝手に推測。
仮説1.東京メトロの担当者がクリフォード好きだった
一番ありえそうな仮説ですが、検証できないので却下。
仮説2.ケーブルテレビの放映だけにもかかわらず、非常に人気を博している
「地上波の番組→知名度」という考え方が古くて、今はケーブルテレビでの放映でも十分に注目を集めることができるのかも。これは同じくケーブルテレビのみの放映の「スポンジボブ・スクエアパンツ」(同じくアメリカの子供向け番組、クリフォードと違ってドタバタコメディに近い)が最近人気なことからも裏付けられそうです。
仮説3.キャラクターグッズの売上が人気を後押ししている
もしかしたら、「地上波/ケーブルを問わず知名度を押し上げるのはテレビだ」という考え方が古く、別のチャネルから情報が流れているのかもしれません。例えばソニープラザに行くと、クリフォードやスポンジボブのキャラクターグッズが山のように置かれています。女子中高生達がこうしたキャラクターグッズを見て、わけも分からず(テレビ放映を観ていたわけでもないのに)「可愛い!」と買って行くところから人気がスタートしているのかも。
仮説4.ブログ/SNSなど、クチコミで人気が広がっている
これもありえそうな仮説です。例えばTechnoratiで「クリフォード」キーワードに検索すると、259件の記事がヒットします。ちなみに過去半年の出現頻度をチャート化するとこんな感じ:
頻度は高くありませんが、コンスタントに言及があることが分かります(もちろん「クリフォード」という人物についての記事があったとしたら、それも含めての数になってしまっていますが)。mixiのクリフォード・コミュニティについても、半年前に設立されてから現在は180名を超える参加者が集まっています。
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というわけで、適当に仮説を挙げてみましたが、どれも決め手にかけるような。恐らく上記のような要素の相乗効果で、東京メトロのポスターに採用されるまでの知名度が集まっているのでしょう。個人的には「キャラクターグッズを先に販売して人気を集めた」という仮説がお気に入りなのですが、これが正しいとすると、「背景説明とか『これが何か』とかいった説明を抜きにして、共感を集めるキャラクターをとりあえずバラ撒いてみる」といった手法でも、人気を集めることができるのかもしれません。
もしかしたら、「これが何か」が分からなかったからこそ、逆に人気を集めることができたのかも。ある人は単純に「真っ赤な犬のぬいぐるみなんて可愛い」という理由でグッズを買ったのかもしれないですし、別の人は自分で「クリフォード」をネットで調べてみたかもしれません。バックグラウンドを知りたい人には十分な資料を用意しておくが、特に「これはクリフォードという番組に登場する犬で・・・」という「意味づけ」を強制はしない、というアプローチが有効だったという仮説も成り立つのではないでしょうか(同様に「スポンジボブ」をチーズのキャラクターだと誤解している人は多いと思います)。
仮説を投げかけるだけで終わってしまうのですが、思いがけず日本の地下鉄でクリフォードに再会し、ふと「何が人気を煽る要因となるのだろう?」と考えてしまいました。
いつも面白い情報をありがとうございます。
>アメリカのアニメ番組としては、奇跡的に可愛いキャラクター
(笑)
残念ながら私はこのキャラクタ存じ上げておりませんでした。
仮説4. ですが、こんなときこそ、
http://blogwatcher.pi.titech.ac.jp/
http://biz.kizasi.jp/
http://buzz.ameba.jp/
のような口コミ検索が活躍しますね。ためしに検索してみたところ、みごとに話題になって”いません”でした(笑)BSE問題関連で「クリフォード獣医主任」という方が登場していますね。ブログ検索だと、ニュースもカバーするケースがありますので、口コミとブログ検索は区別して考えたほうがよさそうですね。(バズワードとしてはニュースソースがもちろん影響していますが)
勝手に妄想に参加させていただきますが、
仮説5. 大人の事情
なんらかの事情で版権をおさえてしまった広告代理店が東京メトロにねじこんだとか。これから、他社で展開されるキャンペーンや商品開発とのタイアップでの認知効果を狙っていたりとか。
仮説6. そもそも米国人に訴求したい
東京メトロでは「駅ナンバリング」を採用するなど、外国人を意識したコミュニケーション・サイン計画をおこなっています。iPodは米国産ですので、当然米国からきた観光客にも普及しているわけです。そういったあたりまで訴求したいという意味があったりして。
投稿情報: p-article | 2006/04/19 10:24
追加の仮説ありがとうございます(返答がおくれてスミマセン)。この機会にぜひ、クリフォードをご覧下さいませw
「仮説5.大人の事情」というのもありそうですね・・・キナ臭くて好きですw
ちょうどクリフォードがカートゥーンネットワークで放映中ですし、一儲けしたい人々の事情かもしれませんね。
仮説6.も確かに。東京メトロは最近いろいろ変わってきていますよね。「駅ナンバリング」はユニバーサル・デザインという視点からも注目しています。
投稿情報: アキヒト | 2006/04/21 13:45
クリフォードのDVDが英語教材として発売されるのでは。という声を映像系の友人から聞きました。英語の字幕をつける仕事をしたんだそうです。子供に見せるなら吹替えだろうし、耳が不自由で英語を読みたい需要なんて日本にはそうないだろう、と。wanna gonna以外はキレーな英語で聞きやすいよ、とも。
投稿情報: かほる | 2006/05/05 21:08
かほるさん、情報ありがとうございます。確かにボストンでクリフォードを観ていたときは、「キレイな英語だな」と思いました。うちの奥さんは英語がまったくダメなのですが、この番組はわりと単語が聞き取れると言ってました。子供向けというか教育番組の範疇に入る作品なので、その辺を気をつけて作っているのかもしれませんね。
投稿情報: アキヒト | 2006/05/08 10:33