先日のエントリ(IT謝罪)に続いて、ITと謝罪について。こんなこと書いてると、短気な人だと思われそうですが・・・(実際短気ですが)。
僕は朝オフィスに来ると、新聞を読んで面白そうな記事をコピーしておくのですが、ウチのコピー機は突然こんなメッセージを表示することがあります:
「カラー調整中です。」と「おまちください」と表示されたまま、何の入力も受け付けない状態になってしまいます。どうもカラーコピー/白黒コピーの切り替えを行うのに時間がかかっているようなのですが、明確な説明はなく、いつ復旧するのかも分からないまま。こうなってしまうと、何もせずただ待つしかありません。
マーフィーの法則そのままに、急いでいるときに限ってこの状態になってしまうのですが、イライラするのはそればかりが原因ではないようです。最近読んでいる本『インターフェース革命』によれば、人間は自動化されたシステム(この場合はコピー機)を使うと、自分に主導権があると感じるそうです。それなのに意に反して突然止まってしまうと、より怒りを感じるのでしょう。
となると、不具合が発生した場合のインターフェースは、細心の注意を払って設計される必要がありそうです。間違っても「調整中」などというお知らせ1つだけで停止状態に入ってしまってはならないはずです。このコピー機の場合、どんな対策が考えられるでしょうか?
仮のフレームワークとして、「感情的⇔理性的」という軸と、「能動的⇔受動的」という軸の2×2で考えてみます。
(1) 感情的+能動的 = ひたすら謝る
とにかく謝る。「お客様には大変ご迷惑をお掛けしますが、なにとぞご理解のほど・・・」云々。また感情に訴えるために、擬人化テクニックを駆使する(ex. 営業マンのイラストを表示する、もしくはマスコットキャラクター「こぴお」をあらかじめ用意しておき、彼/彼女に謝らせる)。
(2) 感情的+受動的 = オンラインフィードバックシステムを用意する
オンライン状態にすることが可能な場合、ネット経由でメーカーにフィードバックが送れるようにしておく。フィードバックは理性的な内容である必要はなく、あくまでも「文句を言ってやった」という爽快感が感じられれば良い。匿名で行えるようにしておくことも必要。
このイメージに一番近いのは、Windowsでアプリケーションが異常終了した場合に表示される「この問題を報告する」っていう機能なのですが、あの程度のフィードバックでもユーザーのストレス軽減に効果があるそうです(「ケッ、いちゃもんつけてやったぜ!」と感じる人が多いのだとか)。
(3) 理性的+能動的 = 詳しく説明する
不具合が生じた場合、不具合の内容を詳しく解説する。前述のコピー機の例で言えば、「カラー調整中とはどのような常態か」「何が(どんな操作が)原因か」「防ぐ方法はあるか」「復旧にどの程度時間を要するか」などなど、ありとあらゆる説明文を用意しておき、ユーザーの気が済むまで読めるようにしておく。
(4) 理性的+受動的 = 担当者が呼べるようにしておく
さすがにコピー機の操作パネルでヘルプデスクとチャット、という訳にはいかないかもしれませんが、最低でも電話番号を表示し、急ぎの場合には実物の人間とコンタクトが取れるようにしておく。この場で感情的に文句を言う人も出てくると思いますが、生身の人間が相手の場合には(ヘルプ担当者がおかしな受け答えをしない限り)、比較的冷静に・理性的に話そうとするものです。
以上4つ、こんな感じでしょうか。当然まったく別のフレームワークを使って、もっと効果的な謝罪インターフェースが考えられると思いますが。
いずれにせよ、今後も機械やWEBのインターフェースを通じた操作というものは増える一方でしょう。そしてそれが便利なものであればあるほど、期待した通りに動かなかった場合の怒りは激しくなるはずです。どんなインターフェースが相手の感情を和らげることができるのか、心理学やデザイン、色彩や文章表現など様々な分野での知識を動員して考えてみる必要があるのではないでしょうか。
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