ある新商品/サービスがヒットすると、その昨日を拡張・補完する商品/サービスが現れ、それらが全体としてさらなるヒットにつながる -- という現象があります。キャズム理論で言うところの「ホールプロダクト」という概念ですが、流行のデジタルオーディオプレーヤーにも、様々な補完サービスが登場しているようです:
■ Digital fuel for travel (Springwise)
オランダのスキポール空港に登場した、Fuel for Travel というサービスについて。キオスク型の設備で、MP3プレーヤーなどのデジタル機器にトラベルガイド、音楽、オーディオブック、TV番組や映画などをダウンロードできるというもの。通常のデジタルコンテンツ・ダウンロードサービスと同様の料金体系で使用できるようです。「旅行の燃料」というネーミングと、どことなくガソリンスタンド風のデザインがナイスですね:
残念ながらDRMの関係で iPod には対応していないそうなのですが、iPodユーザーの方にはこんなニュースもあります:
■ New iTunes kiosk in development (Engadget)
こちらは iTunes 専用のキオスクサービス。オーストラリアの企業が開発した"PodBuffet"という端末で、こちらも空港を始め駅、ホテル、ショッピングセンター等に設置するとのこと。Engadget の記事では他にも、マクドナルドの店舗に設置された iPod 用キオスクなんてものも紹介されていますね。
デジタル端末によりデジタルコンテンツが簡単に携帯できるようになったとはいえ、その使用にはまだPCが深く紐付いており、行動範囲には見えない制限があります。そのうち端末自身がネットワークにつながる性能(国内でも、海外でも、どこででも!)を備えることが一般的になるはずですが、そんな時代が来るまではこういった「キオスク」サービスへのニーズがあるのでしょうね。旅行前の空き時間で、時間つぶし(あるいは移動時間用の楽しみ)のためにコンテンツを手に入れる、あるいは旅先でも最新情報をチェックする、などといった使い方が可能だと思います。
また「あるキオスクでしかダウンロードできないコンテンツがある(巨大なスキポール空港の楽しみ方を教えてくれるガイドとか)」「仲間全員で画面を見ながらワイワイと選ぶ(マックなど飲食店に置かれたキオスクなど)」といった、自宅PCという環境では考えられなかった「新たなダウンロードの楽しみ方」を打ち出すことで、PCの代替という位置付けにとどまらない、これまでに無い付加価値を生み出すことができるかもしれません。そう考えると、あえてキオスクという端末で物理的な制約を生み出すことにより、サービスの魅力を向上させるという戦略が考えられるかもしれませんね。
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