パワーポイントと言えば、ビジネスには欠かせないツールの1つですが、「パワーポイント使いすぎ症候群」「アニメーション入れすぎ症候群」などといった問題点が発生しているのはよく指摘されるところです。その流れで、Wired にこんな記事が載っていました:
■ PowerPoint Is Evil (Wired)
タイトルからして飛ばしてますが、内容もなかなか。曰く、「パワーポイントはプレゼンする人を楽にするだけで、プレゼンの中身や、オーディエンスにとってはマイナスのツールだ」とのこと。パワーポイントをスターリンに例え、オーディエンスはパワポが強いるスタイルに支配されている、と論じています。(以下、記事内容のまとめですが、意訳した部分や脳内で保管した部分=多分こういう意味なのだろう、と解釈した部分があります。)
Evil なポイント(1)は「短い議論を必要以上に長くしてしまう」こと。確かに日本でも「高橋メソッド」に入れ込み過ぎて、やたらでかい文字を使う「だけ」の人がいたりしますが、そういう人に限って「それって1枚のスライドにすれば10秒で終わるんじゃ・・・」っていう内容を延々説明したりします。薄い内容を長くするのがパワポというツールで、観客はそれに長々とつき合わされているのだという主張。
Evil なポイント(2)は、(1)とも関係するのですが、1つの文脈や主張が複数のスライドにまたがることにより、前後の関係が捉えにくくなってしまうこと。延々と目の前を通り過ぎていくスライドを眺めているうちに、「で、何が言いたかったんだろう?」という気分になってしまうというやつです。
Evil なポイント(3)は、テンプレート機能やグラフィック機能により、ゴミのようなデータでもキレイに見えてしまうこと。また記事中では、「本当に重要なデータでも、カラフルな図表機能を多用することにより、分かりづらかったり軽く見えるものになってしまう」という逆の例も指摘されています。
あらゆるメディア、というか、コミュニケーションのためのツールに共通することですが、仕組みの側に中身の方が引っ張られてしまうことがあります。パワポの例で言えば、「アニメーション機能で遊んでいたら、90%以上が動くオブジェクトになってしまった(スライドショーの時には真っ白から始まるページばかり!)」などといった感じでしょう。アニメーションは分かりやすい例ですが、よく考えてみると、気づかないうちにパワポに引っ張られている面はいろいろとあるのかもしれません。
記事の締めには「観客に敬意を払え」という言葉が掲げられているのですが、あらゆるコミュニケーションツールの「邪悪さ」から逃れるためには、この点を常に気にしているしかないのでしょうね。
いつも拝見しています。えいめと申します。
僕もよく社内承認のためにパワポでの資料を作成しています。
幹部会議での使用でもあり、アニメーションは全く使用せず、スタンダードな資料(?)・・になっていると思います。
でも、最近の入社数年の社員の研修結果報告(プレゼン)などを見ていますと、学生の頃から使っているためか、とてもおもしろいパワポ資料をつくってくることがありますね。
音や動画を小気味良く使用していて。
おー、パワポであんな楽しいプレゼンができるのかー、と感心してしまいます。
また高橋メソッドは、デカ文字によるインパクトを全面に出したプレゼン方法でしょうから、言葉選びが重要なのでしょうね。
気を抜くと作文をダラダラ流していくカンジになり退屈になりますね。「はよ、めくれよー」みたいな。
だらだら書いてしまいましたが、いろいろ思うことがあり参考になりました。
投稿情報: えいめ | 2006/09/09 09:53
えいめさん、コメントありがとうございます。
確かに若い人・・・という言い方も何ですが、若いうちからパワポなどのツールを使い慣れている人が多くなっている気がしますね。そういった人たちに合わせて、パワポはますます進化していくのでしょう。
「高橋メソッド」はその通りと納得する面も多いのですが、上手に使いこなすのは難しいのではないかと感じています(単に僕の能力がないだけかもしれませんが)。仰る通り、適切な言葉を選ぶことが最重要になっているのかもしれませんね。その意味では、パワポ云々の前に優れたコミュニケーターである必要があるのかもしれません。
投稿情報: アキヒト | 2006/09/11 16:28