そろそろ寝ようとしていたら、こんな面白そうなネタが。画像内にある人間の顔を認識する技術に力を注いでいる Riya が、今度は物体を認識して類似商品を検索する技術を開発したとのこと:
■ RiyaのLike.comは最初のホンモノのイメージ検索 (TechCrunch Japanese)
ついでに CNET Japan の記事はこちら:
■ 画像認識技術のRiya、イメージ検索サービス「Like.com」をついに公開 (CNET Japan)
Like Visual Search というサービスで、まだアルファ版という位置付けなのですが、既にその目指すところは体感することができるようになっています。例えば以下のように、トム・クルーズの写真の足元を指定すると・・・
・・・靴の形を認識し、それに似た商品を探してくれる、という仕組み:
この辺りは Riya を触っている人なら、おなじみのインターフェースではないでしょうか(ただし独自の画像をアップロードすることはまだ不可能)。ちなみに言葉で検索したり、提示された選択肢に似た商品(形状が一緒・色が一緒など)を探せるようにもなっていますが、そういった機能であれば類似のイメージ検索で既に実現されていますよね。なのでやはり、Like Visual Search 最大の特徴は「写真の一部から商品が探せる(=憧れのあの人が付けている○○が探せる)」というところにあると思います。
興味深いのはこの検索エンジンが、「商品を買う」というところまでフォローしている点。検索結果(個々の商品)すべてに「○○(オンラインストア)で買う」というリンクがついています。「憧れのあの人が付けている○○を探したい」というのであれば、最終的に「それを買いたい」という欲求に行き着くであろうことは容易に想像できますが、その辺がぬかりなくサポートされているわけです。ここで Like.com がアフィリエイト収入を得れるような契約になれば、かなりの収入が期待できるのではないでしょうか。
しかしそうなると、様々な問題が持ち上がりそうですね。上記の検索で最初に表示されるのは"Stacy Adams"というブランドなのですが、もしトム・クルーズが競合メーカーと広告契約を結んでいたとしたら(さらに検索結果から Stacy Adams が売れてしまったら)どうなるのでしょうか?また例えば、ウェブに掲載されていた誰かのスナップ写真を見て「この人のファッションが素敵だから、全部マネしてみよう」と考え、様々な商品を Like.com 経由で購入したとします。ここで「商品が購入されたのは、スナップ写真に写っていた人の着こなしが上手だったからだ」と考えれば、Like.com ばかりが得をするのは不自然な感じがします。またその写真を撮った人はどうなるのだ?という議論も可能でしょう。
もちろん単純に「街を歩いている人が素敵な腕時計をしてたら、それを買いに探しにでかけるでしょ?それが簡単になるだけの話だよ」と反論することもできます。しかし Like.com の儲けのおこぼれに与ろうと、「個人がウェブ上に公開している写真が原因で商品が売れた場合に利益を還元するプログラム」を提供するように求める声が出てくるかもしれません(ちょうどブログに対する AdSense のような位置付けで)。
一方、Like Visual Search の性能が非常に良いもので、多くの人が商品検索の窓口として Like.com を使うようになれば、メーカーは自社の製品が検索結果に現れるようになるために進んで画像情報を提供するようになるでしょう(例えばメジャーブランドの大人気商品に近い製品を作っている小さなメーカーであれば、宣伝費と位置づけてお金をかけてでもデータを提供しようとするはずです)。そうなると、Like.com は一種のプラットフォームとして、ウェブ全体を巨大な商品カタログのようなものに変えてしまう存在になっていくかもしれませんね。
とまあ、全ては想像レベルの話なのですが、オンラインで買物する際の消費者行動を大きく変える可能性もあるのかなと感じます。それが大きければ大きいほど、生じる摩擦も大きいのではのではないでしょうか。
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