カゼ気味なので、ふとした感想程度のエントリを。まずは日経ビジネスの最新号(2007.6.11)に載っていた、ある記事の導入部分をどうぞ:
走る、止まる、曲がるという車の機能に、情報と「つながる」が加わる。高速道路などで利用されてきたETCのシステムが街中に飛び出す。通信機能を持ち始めた車は、我々の日常をどのように変えるのか。
これは「『走る受信機』、車の進化~街中に飛び出すETC、カーナビと連動も」という記事の冒頭。なんでもETCは高速道路の入り口だけでなく、街中の様々な場所に設置されて、料金決済・情報提供のシステムとして機能するようになる可能性があるそうです。これを読んで、僕はこんな連想をしてしまいました:
- ETC利用データをライフログとして使う
- 取ったログをブログ、IM、Twitter 等と連携して、自動的に自分の行動を他人に知らせる
- 「カメラ付きカー」が登場して、「この道路の5km先にいるクルマ」が撮影した写真が簡単に参照できるようになる
なんかWEB2.0病ですね。まあそんなことが実現可能かどうかは別にして、
走る、止まる、曲がるという車の機能に、情報と「つながる」が加わる。
という一文から、上記のような想像をしてしまったわけです(実際にはご存知の通り、クルマはテレマティクスという形で既に「つながり」始めているわけですが)。しかし日経の記事で紹介されていたのはそんなアイデアではなく、当然ながら:
- ガソリンスタンドで自動料金決済を行う
- 駐車場の自動料金決済を行う
- トンネル出口やカーブの先などの情報を画像で提供する
といった極めて妥当な(?)使い道を検討中とのこと(一部実現済み)。これを読まれている方々は、「つながる」という言葉からどちらを連想したでしょうか。
後者のイメージは、クルマが「つながる」と言っても、クルマはあくまでもサービスの「受け手」です。企業や政府などが用意した情報(決済データや渋滞情報など)を受け取るのみで、クルマから送信するのはそのために必要なID等だけ。相互通信が可能ながら実質的には「発信者」「利用者」が分かれていたという点で、WEB2.0以前のウェブの状況に例えられるでしょう。
反対に前者のイメージは「WEB2.0」。個々のクルマが情報の発信者として行動する世界です。既にホンダは個々のクルマから道路状況データを収集し、センターで一元管理した上で渋滞情報として提供するという仕組みを実現していますが(参考記事)、そのように「クルマは受信者でありながら発信者」というWEB2.0的状況も「つながる」のあり方として考えられるでしょう。
まあ大企業や政府中心で進められるテレマティクスは「1.0」的なものが中心でしょうし、僕も「ETCのシステムを利用して駐車場自動決済システムを作る」という発想の方がまだまだ普通に感じるのですが、これからは「2.0」的な発想の方も普通になっていくのかもしれません。むしろ政府と大企業が整備したインフラに乗っかって、みんなが楽しめる軽いサービスを展開してやろう、なんて集団が現れても面白いと思うのですが。
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