これまた俄かには信じられない話ですが……いちおう免責を書いておくと、Personality and Social Psychology Bulletin の2008年2月号で発表される研究結果だそうです:
■ Ten Minutes Of Talking Improves Memory And Test Performance (ScienceDaily)
「10分の会話が、記憶力とテスト結果を上げる」というタイトルの記事。University of Michigan の研究者らによると、「調査の結果、他人と交流することは伝統的な『頭の体操』法と同じぐらい、記憶力と知的能力を向上させることが明らかになった」そうです。
彼らの研究では、2つの実験が行われています。最初の実験は、米国全土の24歳から96歳までの人々3,610人に対する調査とテスト。被験者にはまず、「1週間の中で友人や隣人とどのくらい電話で話したり、会ったりするか」という質問がなされ、それが社交度を測る指標とされます。次に精神機能を測定するためのテストが行われ、その結果を社交度の関係性についてみたところ、全ての年齢層で「他者との交流の度合いが高ければ高いほど、認知機能が優れている」という結果が出たとのこと。
2つ目の実験は、18歳から21歳までの大学生76人を対象に行われたテスト。被験者は3つのグループ――「社会問題について10分間の会話をしてもらう(社会的交流グループ)」「あるタスク(読解力テストやクロスワードパズルなど)を3つ実行してもらう(知的活動グループ)」「『となりのサインフェルド』を10分間見てもらう(コントロールグループ)」――に分けられ、それぞれ指定した活動をした後、2つのテスト(精神活動の速さを測るものと、作業記憶力を測るもの)を受けます。その結果、
- 10分程度の社会的交流活動を行っただけでも、被験者の知的能力(intellectual performance)が向上した。
- 向上の度合いは、同じ時間「知的活動」を行った被験者と同程度だった。
という結論に達したとのこと。研究者はこの結果を受けて、「友人や隣人に会うことは、毎日クロスワードパズルを行うのと同じぐらい、頭を良くすることに役立つ」とコメントしています。逆に社会的に阻害された環境にあることは、感情面だけでなく知性の面でも悪影響が出るのではないか、と記事は指摘しています。
まぁ、鵜呑みにしてしまうと「それじゃ試験の前には友達と雑談してよう!」->「話が盛り上がりすぎて覚えた事を忘れてしまった……」となるだけのような気もしますが。しかし他人と交流するということは、想像以上に頭脳を働かせる行為なのだ、ということを示している実験結果なのかもしれませんね。またこの実験では「社会問題(social issue)」が会話のテーマだったそうですが、芸能ゴシップや他人の噂話のような本当の「雑談」でも効果があるのかどうか追試して欲しいところです。
この結果、本当に科学的に証明されるのであれば、『脳トレ』みたいにビジネスに結びつけるところが出てくるかも。個人的には、「交流->SNS」という連想から、「SNSが脳を鍛える!」「老化防止!」みたいなことを言い出す会社が出てくるような……。どうせなら、IQテストを「SNSユーザー vs. 非SNSユーザー」でやったり、「Mixi ユーザー vs. GREE ユーザー」「社内SNS導入企業 vs 非導入企業」でやってみても面白いかも?
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