Second Life の運営会社、リンデンラボのフィリップ・ローズデール氏が、CEO職を退く意向を示したとのこと:
■ EXCLUSIVE - Rosedale to step down as Linden Lab CEO (Reuters)
ローズデール氏が「より経営スキルの高いCEOを探し始めた」と述べたそうですが(ちなみに自身のブログでもコメントがあります)、リンデンラボを辞めるわけではなく、サービス開発に専念するそうです。まぁここだけなら、創業者は実務に専念して、経営はプロに任せることにした――というよくある話のように聞こえます。
ちなみに記事では Harvard Business Review の研究が引用されているのですが、ハイテク系ベンチャーの50%が3年以内に、40%が4年以内にCEO交代を経験するとのこと。ローズデール氏は1999年にリンデンラボを立ち上げて以来CEOを務めていますから、この時点までCEO交代がなかったという方が異例なのかもしれません(それが良かったのか悪かったのか、については議論が分かれるところですが)。
問題は、新しいCEOが直面する状況。ユーザー数などの統計データが Google Docs で公開されているのですが、ユーザー数ではなく「全ユーザーの総ログイン時間」で見てみると(上のグラフのピンク色の部分)、人気の伸び悩みが見えてきます。2007年初頭からログイン時間の急上昇が見られるものの、2007年後半には既に停滞モードに入っています。ちなみに2007年12月は約89万人のユーザーが2,560万時間ログインしたそうですが、1ヶ月の間に1時間以上ログインするような「アクティブ」ユーザーに限定してみると、約52万人で2,550万時間という計算になるそうです。アクティブに限定しても総ログイン時間がほとんど変わらないところを見ると、やはりコアなユーザーが支えている、といった状況なのでしょうか。
個人的には、新しい「スーツ」がやってくることで、これまで思いも付かなかったような利用法が生まれるなどの効果が期待できると思います。懸案となっている初心者ユーザーの獲得についても、外部の目の方が対策を考えやすいという面があるでしょう。しかし中島聡さんの本『おもてなしの経営学』でも示されているように(同書についてはシロクマ日報でも書評を書いています)、「スーツ」と「ギーク」がうまく協力関係を結べなければ逆に不幸な事態を招くことになります。当然ながら「どんな人物が次のCEOになるか」によって全てが決まるのでしょうね。
……ところで前述の Google Docs で公開されている統計データですが、それによると2008年1月度の日本のアクティブユーザー数は約3万人。米国、ドイツ、英国に次いで第4位となっています。ちなみに2007年7月のCNET Japanの記事によれば、日本の「登録ユーザー数」は約17万人とのことですから、やはり2007年に起きた「Second Life バブル」で獲得したユーザーをうまく長期的な利用者に育てられていないようです。
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