大事な試験があるのに勉強が間に合わない、やむを得ず徹夜で本番に臨む――のは最悪で、何かを覚えたければ十分な睡眠が必要、という研究結果が出たそうです:
■ 脳内で起きる記憶処理に睡眠が影響を与えるとスイスの研究者が発表 (swissinfo)
ジュネーブ大学の神経科学者チームによると、睡眠は脳内の学習プロセスを強化するための新しい回路を活発化させる。ジュネーブ大学の「神経学・認識イメージ研究所 ( The Neurology and Imaging of Cognition Laboratory ) 」のソフィー・シュワルツ氏は、新しい経験はまず記号化され記憶に収められるが、どのような種類の睡眠をとるかがその後に大きく影響すると語る。
「われわれの研究結果は、新しい経験の後に取った睡眠時間中に、脳がその経験からの学習効果を整理統合し、その利用を十分可能にすることを示しています」
以前から睡眠と記憶には関係があると言われていますが、今回の研究はその詳しいプロセスについて調べたもの。上記の通り、何かを学んだ後で取る睡眠時間の中で、新しい知識を短期記憶から長期記憶に移す行為が行われるとのこと。面白いのは、収められた知識を単純に右から左に移すのではなく、「どの情報が記憶するに値する重要性があるか」などといった整理整頓が行われるという点です。
われわれが学習した技術は、夜間に「レム睡眠 ( rapid eye movement sleep ) 」が起きている間に記号化され、「手続き記憶 ( procedural memory ) 」として保存される。レム睡眠は、睡眠開始からかなり時間が経った後に頻繁に起こる。
「例えば自転車の乗り方を習っている時は、どうやったら乗れるようになるのか自分では正確に理解できませんが、眠っている間に手続き記憶が保存されるので、上達するのです」とシュワルツ氏は述べる。
とあるように、直接何かを学んでいるタイミングでは分からなかったことでも、経験を通して得られたデータが睡眠中に整理される>記憶として脳に残る、ということも起きるわけですね。そう考えると、「学ぶ」というのはデータや経験を頭に詰め込む時間だけでなく、寝る時間も含めて完了する行為と捉えた方が良いのかもしれません。
もちろん寝なければ短期記憶->長期記憶の移行作業が行われないわけではないそうですが、特に新しい知識を集中して会得しなければいけないような場合は、睡眠時間をたっぷり取るに越したことはなさそう。ただしどの程度が適切な睡眠時間かは人によって異なるとのことで、寝過ぎて逆に学習の時間が無くなった……などということにはご注意を。
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