『シロクマ日報』でも書きましたが、昨日の日経新聞で、デジタルガレージが Twitter と提携・日本語版+モバイル版開発に乗り出すというニュースがありました:
■ デジタルガレージ、「ミニブログ」最大手の米社に出資 (IT-PLUS)
で、シロクマ日報では「これまでのユーザーと新しいユーザーの間に衝突が起きるかもしれない」と書いたのですが、上記記事に対するはてなブックマークのコメントを見ると、その可能性は大きそうです:
■ はてなブックマーク > デジタルガレージ、「ミニブログ」最大手の米社に出資 インターネット-最新ニュース:IT-PLUS
否定的な意見には2つの傾向があり、無理やりまとめてしまうと「デジタルガレージという会社が問題だ」と「現状でうまく行っているものに手を入れないで欲しい」という感じでしょうか。前者についてはまぁ、コメントは詳しい方に期待するとして、後者の意見は心情的に理解できるものがあります。確かに現時点でも様々な周辺ツールが存在していますし、いまさら(公式な)日本語版・モバイル版を用意してもらう必要性を感じません。さらに参加している人々や書き込みの内容も面白いのだから、変に手を入れられてしまうと
- 不必要な機能を実装される
- 不必要な人々まで参加してくる
という二重のリスクがありそうだ、という感じですね。
しかし、この意見はあくまでも「既存コミュニティ」の参加者である我々の意見にすぎないと思います。例えば自分の家族や、(会社だと自分に近い可能性があるので)会社以外の友人たちが、自分の説明なしで現状の Twitter に参加してくる可能性はあるでしょうか。サードパーティーから発表されている様々なツールを使いこなし、「これ面白いね!」と盛んに書き込みを行うようになる……などという姿は、個人的には全く想像できません。今の参加者にとっては不必要、余計な機能であっても、新しい参加者を集めるには絶対に必要というものはあるでしょう(もちろん新しい参加者にすら不要な改悪、というものは避けて欲しいですが)。
また新しくやってくる人々が、価値のない情報発信しかしないということもあり得ません。既存ユーザーにとっては「つまらない」「くだらない」という書き込みであっても、新コミュニティ周辺では人気を博すということが起きるでしょう。彼らの参加によって「最近 Twitter がつまらないなぁ」と感じることが起きるとすれば、それは自分にとって価値のある Twitter ユーザーと出会うことが難しくなっただけで、全体的な価値が下がったということにはなりません。
……って、この手の話って先月さんざん聞きましたよね。それは Twitter の話ではなく、ブログにおいてでしたが。さらにこのブログでも、こんなことを書いていました:
現状の参加者が感じている「Twitter の価値」とは、ミニブログとしての機能だけでなく、そこにあるコミュニティも含めての価値なわけですね。その意味で、Twitter が事業拡大する(それは営利企業として当然の行動だと思いますが)過程において、旧来のコミュニティからの反発を招くのは不可避なことなのかもしれません。もちろん彼らを満足させつつ、新しい参加者を増やしていくことも方法によっては可能だと思いますが。
ということで、デジタルガレージによる日本語版・モバイル版開発と、それに伴って当然行われるであろう日本向けプロモーションにより、新旧コミュニティの間で不協和音が起きる可能性は高そうです。デジタルガレージにとっては、不要なイメージダウンを避けるためのチャレンジとなり、他の企業にとっては「最近 Twitter つまらなくなったなぁ」と感じるようになった人々の受け皿となるサービス/コミュニティを作り上げるチャンスとなるのではないでしょうか。今年の夏が終わる頃には、ITmedia あたりに「Twitter はもう古い!技術者を中心に人気のミニブログ・XXXXの秘密を探る」なんて記事が載っていたりして。
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