たまには畑違いのネタを。Fast Companyに面白い記事が載っていたので、ちょっとご紹介:
■ Creating the Perfect City Is About Illusions, Such as Shorter Blocks (Fast Company)
Perkins+Willという会社で都市デザイナーをされている、Anthony LyonsさんとDavid Greenさんの対談記事。いろいろと興味深い内容を語られているのですが、「些細なことが街の印象を変える」という話で引き合いに出されているのが次の例:
DG: Seriously, it’s simple. On the point about walkability, people like to walk through cities that have small blocks. It is almost coded into our DNA. It’s about making progress when walking but it’s about the perception of progress in space. Think about Manhattan, it’s a great city, an unbelievably walkable city. Manhattan has small blocks. But even so, you feel different walking down different streets in New York. Anyone who has ever been there knows that walking uptown is far more enjoyable than walking crosstown, regardless of the distance. Why? Because the blocks in New York are long and narrow. You walk across the short side, 225 feet, when walking uptown and the long side, generally 600 to 900 feet, walking crosstown.
DG(デイビッド・グリーン):冗談抜きで、単純な話だよ。「街の歩きやすさ」という点については、人間は街区が小さい方を好むんだ。私たちのDNAに刻み込まれているようなものさ。歩いている時に達成感を与えるという話なんだけど、それは空間が変化しているという印象を与えることなんだ。マンハッタンを例に挙げよう。巨大な都市だけど、非常に歩きやすい。街区が小さいからだ。しかしストリートづたいに横に移動しようとすると、違った印象を受けるだろう。マンハッタンに行ったことがある人なら、ストリートの中を移動するよりも、アップタウンに向かって移動する方がはるかに楽しいと分かるはずだ。それには距離は関係ない。なぜか?ニューヨークの街区が細長い形をしているからだ。縦に移動する際は短い辺(225フィート、約69メートル)を歩くことになり、横に移動する際は長い辺(平均600~900フィート、183~274メートル)を歩くことになる。
少し分かりづらいかもしれませんが、一緒に掲載されているイラストを見れば一目瞭然でしょう。マンハッタンの「~通り(ストリート)」は、街を東西に横切る道路のことを指します。ストリート上では街区の一辺が長くなるのに対して、アップタウンに行く、つまりマンハッタンを南から北に移動する際には(別に北から南へとダウンタウンを目指すのでも良いのですが)、街区の長さが短くなると。で、小さな街区で構成されていた方が、人間は「進んでいるな」という実感が得られて楽しく歩けるわけですね。
例えば上の図で言うと、現在地点から緑のカフェ/オレンジ色のカフェまではそれぞれ0.5マイル(約800メートル)の距離があるわけですが、オレンジ色のカフェまでの方がブロック数が多い=小さなブロックで構成されているので、歩きやすく感じるということになります。呼び出した彼女に疲れた表情をしていて欲しくなければ、迷わずオレンジ色のカフェを待ち合わせ場所に指定しなければならないと。
ただ実際には、現在の都市計画には様々な要素を加味しなければならず、簡単な話でもすぐに導入するというのはなかなか難しいんだよ、ということらしいですが。しかし「大きな仕事でも、小さく小分けして取り組めばやる気が湧く」的なライフハックにも通じる話で、なかなか興味深いのではないでしょうか。
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