プレゼント選びがいかに大変なタスクであるか、改めて説明するまでもないでしょう。特にパートナーや片思いの相手に贈るものは、その後の人生を左右する(!)と言っても過言ではありません。しかしいまやソーシャルメディアの時代、相手が欲しいものは直接本人(がネット上に残したデータ)に聞けばいいじゃないか、ということで米ウォルマートからこんなFacebookアプリがリリースされています:
■ Don’t Trust Your Instincts? Wal-Mart Uses Algorithms to Find Gifts People Want (AllThingsD)
Shopycatというアプリなのですが、要は指定した友だちのウォール等を解析して、相手の好みを把握>プレゼントの候補を選んでくれるというもの。自分自身を指定することもできるので、僕で実験してみるとこんな結果になりました:
画面上部(スクリーンショットでは青く塗りつぶされている部分)に友だちのアイコンが並び、クリックすることで結果を切り替えることができます。で、指定した友だちの分析結果とオススメ商品が下にずらずら表示されると。残念ながら解析してくれるのは英語テキストだけなのですが、確かに映画『ガタカ』についてつぶやいたこともあったので、当たらずとも遠からじという感じかなぁ。
誤解を恐れずに言えば、発想としては単純なアプリでしょう。既にユーザー本人の過去の行動を解析し、オススメ商品を教えてくれるという「レコメンデーション」は一般的な存在となりましたし、Shopycatはそれを周囲の友人に置き換えたものと捉えることができます。ただ裏側では様々なアルゴリズムが走っているとのことで、こんなコメントが:
For example, if someone likes Lady Gaga, the most obvious product to recommend is her albums. But a fan would likely already own those. A better gift is something more special — a collector’s item or a limited edition. That’s a more complex problem.
Since gifting is a practice humans naturally struggle with, maybe algorithms can do a better job?
After using Shopycat, Harinarayan learned his wife was a fan of “Game of Thrones,” the TV series on HBO. She has posted several times on Facebook about the show, but he hadn’t noticed. “Facebook is so transient and things flow by. Here’s a way to aggregate it all and put it one place,” he said.
例えばレディ・ガガが好きな人がいるとすれば、オススメ商品は彼女のアルバムということになるだろう。しかし彼女のファンなら既に持っている可能性が高いはずだ。従ってより良い贈り物は、何かもっと特別なもの、ということになる。例えばコレクターズアイテムや限定版商品といった具合だ。つまり問題はちょっと複雑なわけである。
贈り物というのは誰しも苦労するものだ。アルゴリズムが手助けできないものだろうか?
Harinarayan氏(アプリを制作したWalmartLabsの創設者)はShopycatを使い、彼の奥さんがHBOのテレビ番組"Game of Thrones"を楽しみにしていることを発見した。彼女は番組について何度かFacebook上でコメントしているのだが、彼は気付いていなかったのである。「Facebook上の情報は一過性で、すぐに流れてしまう。そこで情報を一箇所にまとめるツールの出番だ」と彼は述べた。
確かに自分向けのレコメンデーションであれば、「これは持ってるよ」などいる・いらないを判断することができますが、プレゼントとなれば話は別。興味のあるカテゴリーで、しかも持っている可能性が低いもの、注目されていないけど実はファン心理をくすぐるもの、などという要素を考えるとアルゴリズムを進化させる余地はいくらでも残されていそうです。
またこうしたアプリが一般化したら、誰かに素敵なプレゼントを贈ってもらうために、積極的にライフログをつけるなんて人も増えるのかもしれません。いや、ストーカー行為のように受け取られて、逆に「やっぱりネット上で個人的なことを書くのは止めよう」という人が増えるのでしょうか。え?どうぜ「※ただしイケメンに限る」になるのだろうって?そうか、「贈り主/贈られる相手」の関係性も加味したアルゴリズムにしないといけないぞ……
プレゼントの経済学―なぜ、あげた額よりもらう額は少なく感じるのか? ジョエル・ウォルドフォーゲル 矢羽野 薫 プレジデント社 2009-11-12 売り上げランキング : 461853 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コメント