米国ではFacebook/Twitter経由でニュースを手にすることが多い人は9%に過ぎない、というPew Research Centerの調査結果が話題を集めていましたが、一方で今日はこんな話も。英ガーディアン紙ウェブサイトへのトラフィックに関して、Facebook経由が検索エンジン経由を上回ったとのことです:
■ Social predicted to overtake search as Guardian traffic driver (Journalism.co.uk)
Guardian Changing Media Summitというイベントで、ガーディアン紙の関係者が語ったFacebookアプリの効果について。
Facebookは"Frictionless Sharing"(スムーズなシェアとか、シームレスな共有といったような意味)を旗印に、様々な行動を即座にシェアできるようなアプリをサードバーティーが作成できる環境を整えています(ループス斉藤さんの記事「Facebook がリードする Frictionless Sharing を多面的に考察する」に詳しいです)。ガーディアン紙も"The Guardian on Facebook | Facebook"というアプリを提供していて、このアプリ内で記事を閲覧したりすると、「○○さんが××という記事を読みました」という内容が伝わるわけですね(もちろん公開範囲の設定が可能)。
でこのアプリを提供する6ヶ月前、Google経由のトラフィックが全体の40%を占めていたそうなのですが、最近Facebook経由のトラフィックが瞬間的に、Google経由を上回ったとのこと。発表資料を見ると、およそ25%のあたりで、Google経由とFacebook経由がクロスしています。たった6ヶ月での逆転ということで、ガーディアン紙関係者は"Seismic Shift"(劇的な変化)と表現しているのですが、Facebook上での行動を「つつ抜け」にしてしまうFrictionless Sharingの仕組み、一人の読者の行動が周囲に波及するという点で大きな効果を持っているようです。
ただやはりプライバシーに対する懸念はあり、現在のところはアプリ使用を回避するといった動きは起きていないものの、この点については十分に注意を払っているとのこと。昨日の記事でも書いた通り、ある意味で個人情報の固まりとも言えるSNSから、様々な手段を使って情報を引きだそうという動きが現れています。たとえガーディアン紙がまっとうな運用を行っていたとしても、おかしなアプリが増えてくれば、自動的に行動をシェアする系統のアプリは一切使わないようにしようというユーザーも増えてくるでしょう。
ともあれ、検索からソーシャルへという流れを象徴するようなこのニュース。特に報道機関にとっては、Googleに加えてFacebookとどう付き合ってゆくのかを本気で考えなければならなくなっているのかもしれません。
コメント