「この部分が分からないんだけど」なんて質問に答えてくれちゃう教科書

家庭教師がいらない未来、的な何か：

■ Inquire — An Intelligent Textbook

基本的にはiPadで動く生物学の電子教科書（コンテンツの中身は"Campbell Biology"という著名な教科書とのこと）なのですが、「人工知能推論システム」なるものを搭載していて、生徒が分からない部分を質問できるようになっているそうです。実際の動画も公開されています：

各ページに虫眼鏡のアイコンが用意されていて、ここをタップすることでいつでも質問が可能。テキストで入力された質問文を解析し、適切な答えを返してくれます（ビデオには登場しませんが、Siriのテクノロジーも活用しているそうですから、iOS6では音声による入力が可能になるのかもしれません）。またWolfram Alphaのテクノロジーも活用していて、自然な文章での質問が可能。さらに生徒が適切な質問を思いつかないことを想定して、入力された単語から質問文の候補を挙げる機能まで付いています。

これは自習にもってこい、といったところですが、実際に同じ内容を紙媒体・通常の電子書籍・Inquire版の3つで勉強してもらったところ、最も高い学習効果が見られたのがInquire版だったとか。こんな教科書が僕が学生のころに普及していれば……。

しかし内容が内容だけに、単なるコンテンツのデジタル化だけではInquire版を作成することができず、専門家による補足情報の追加が必要とのこと。そのため1400ページ以上（！）あるCampbell Biology全体をInquireに置き換えるためにはまだまだ時間＋労力が必要で、18人の生物学者が作業して2013年までに完成させる計画だそうです。うーん、仮にInquireの有益性が実証されたとしても、すぐにあらゆる科目でこんな「スマート教科書」が登場することにはならないのかもしれません。家庭教師や学習塾が過去のものになるのはまだまだ先か。

ともあれ、せっかく電子書籍が普及するのであれば、こんな革新的な機能が付いた教科書がもっと登場して欲しいところ。理解度に応じて、生徒一人ひとりに合った内容に自動的にカスタマイズされる教科書……なんてのもできたらいいのに。

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