ディレクトリ型検索エンジンを提供していたLookSmartが、161種類にも及ぶバーティカル検索サービスを開始したというニュース:
LookSmart Searches for Vertical Comeback (ClickZ)
ちなみにLookSmartのサイトはこちら:LookSmart
LookSmart バーティカル検索の特徴
バーティカル検索とは、ある特定の分野に限定した記事だけを検索の対象とするもので、先日お伝えしたHealthLineもその一種です(参考記事:特化型サーチエンジンの可能性)。LookSmartでは12カテゴリ、161種類の分類がされており、検索対象をかなり絞り込むことが可能です。例えば同じ「TOYOTA」というキーワードを使い、"Luxury Autos"と"Computing"という分野でどのような記事がヒットするか確認してみましょう。
同じキーワードでも、"toyota.com"以外は記事がかぶっていないことが分かります。ちなみに各カテゴリの中で、さらにブログ検索・ニュース検索などの絞込みが可能。また検索結果を保存しておくことができます(保存画面のスクリーンショット:クリックで拡大)
ちなみ保存したデータですが、"Furl.net"という機能(LookSmartが最近買収したサービス、参考記事:ClickZ "LookSmart Aquires Furl")で確認できます。しかしそのページに飛ぶためには、各ページの最下部に表示されているナビゲーションバーからメニューを探さなければなりません(下図参照、クリックで拡大)。それ以外にも、ユーザーインターフェースがいまいち不親切と感じる部分が多くありました。
ユーザーの視点から
「情報は、発見されなければ情報ではない」とはよく聞くフレーズです。それではどのように情報を発見するか、さまざまな検索エンジンがアルゴリズムを競っているわけですが、バーティカル検索も一つの方向性でしょう。
ただ、ある記事がどのカテゴリに属するかの判断には、主観的な要素が絡んできます。例えば「レクサスに学ぶブランド戦略」などといった記事は、"Luxury Autos"に属するのでしょうか、それとも"Business"でしょうか。あるいは別の人は「これは"Technology"に属するべきだ」と考えるかもしれません。多すぎるカテゴリは、逆に混乱を招く恐れもあります。
そのためにもカテゴリ間を自由に移動できて、同じキーワードで何度も検索できて欲しいところですが、LookSmartではカテゴリ間を移動するのがひどく不便です。少なくともディレクトリ構造をもっと分かりやすく、目に付く位置に表示する必要があるのではないでしょうか。
また記事中で、
The development of the vertical search sites also allows LookSmart to offer different inventory -- graphic banner ads -- to advertisers. It's offering a 728 x 90 leaderboard, a 160 x 600 wide skyscraper, and a 300 x 250 rectangle at launch. These ads will be sold through LookSmart's sales force, rather than through its automated interface.
と解説されているように、検索結果画面には巨大なバナー広告が表示されます。これは個人的な感想かもしれませんが、検索結果のトップと右横に巨大なバナーが存在しているのはちょっとうるさく感じます。本来ユーザーに提供するバリューである検索機能がしっかりしていないと、使いたくなくなってしまうのではないでしょうか。
広告主の視点から
バーティカル検索は、広告主にとっては有利です。同じ「TOYOTA」というキーワードでも、それが「トヨタの高級車を買いたい」と思って入力されたのか、「トヨタのブランド戦略を知りたい」と思って入力されたのか区別できれば、広告を見せたいターゲットを絞り込めるからです。その点、161種類もカテゴリが分かれていることは魅力的でしょう。
また目立つバナーを貼れるという点も魅力的かもしれません。しかしLookSmartのためだけにバナーを作る企業もいないでしょうから、ある程度の規模の企業しかスペースを販売できなくなる危険はないでしょうか。もともと中小企業はターゲットにしていないのかもしれませんが。
検索結果のシェアやレーティングなど、Web 2.0っぽい機能が注目を集めるかもしれませんが、今回のLookSmartのリニューアルはやはりバーティカル検索がポイント。ユーザーの支持を集められるかどうか、人々がどのような検索方法を望んでいるかを知るという点でも、注目すべきではないでしょうか。
Technorati Tags: looksmart, search engine, vertical search, web 2.0
※追記
ちなみにLookSmartでも、ツールバーボタンを提供しています。僕はFireFoxユーザーなので、検索エンジンに追加してみました(こんな感じ):
ツールバーから検索を行う人も増えてきましたから、このような機能がサポートされているのは重要ですね。Web 2.0系のサービスを提供する企業は、シェルフスペースならぬツールバースペースを争う時代なのかもしれません。
いったんカテゴリ( www.looksmarttravel.com など)に入ると、全体のトップ( search.looksmart.com )に戻るのにめちゃくちゃ難儀しますよね。
デザインはスッキリしてて見やすいなと思うだけに、ナビゲーションの融通の利かなさが勿体ない…
投稿情報: Toshiya | 2005/10/31 22:39
コメントありがとうございます。
本当に、なぜかナビゲーションの部分だけが抜け落ちているんですよね。担当者が別だったのでしょうか。昔、開発現場にいたことがあるだけに、なんとな~くコミュニケーション不足の臭いを感じます。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/01 01:03