昨晩エントリした記事(デジタルコンテンツは「売れる」のか?)とダブる内容なのですが、面白い記事を見つけたので:
Downloads turn music fans "apathetic"? (CNET News blog)
まずは上記の記事でも紹介されている質問から始めることにしましょう:次のうち、あなたが大切だと感じるのはどちらですか?①何ヶ月もCDショップを探して、やっと見つけたレアCD。②10秒探しただけで見つけた、100円でダウンロードした音楽ファイル。
この質問に対して、おそらく多くの人は①と答えるでしょう。100円で買った音楽ファイルなら、間違えて削除してしまってもまたダウンロードすれば済む話ですが、レア物CDを踏みつけでもしたら大変です。さらにそれがCDではなく、古いレコードだとしたら。こう考えると、確かに音楽がデジタル配信されるようになったことで、音楽の「ありがたみ」というものは薄れているような気がします。
レコードの時代(僕もほんのすこーし経験があるだけですが)には、音楽は大切に保管するものでした。それがデジタル配信の時代になり、音楽はより「消費する」というイメージが近いものになったのでしょう。かさばるレコードがコンパクトなCDになり、もっと小さなMDになり、さらに実体を持たないデジタルデータになった現在では、ありがたみを感じろという方が無理な話かもしれません。上記の記事の中でも、「音楽配信によって人々は音楽を『あって当然のもの』と捉えるようになった」という研究結果が紹介されています。
音楽があって当然のもの、どんどん消費するものであれば、安い値段を期待するのは当然です。もしかしたら、始まったばかりの音楽配信では、1曲ダウンロードするコストは昔から発売されているCD(特に著作権が無くなった古い曲のCDなど)を1枚焼き増すよりも高いかもしれません。しかし人々がデジタルデータに価値を見出さない(決して「音楽を聴きたがらない」という意味ではありません)のであれば、コスト以下で販売することは避けられないでしょう。
もちろん音楽のデジタル配信は、上記の記事でも指摘しているように、音楽の「裾野を広げる」という効果もあります。これまで光が当ることがなかった音楽も簡単に入手できるようになるという、まさにロングテールという言葉通りの現象が生まれます。そう考えると、音楽配信は「宣伝」と捉えて無料もしくは安価(プラス広告収入)なサービスとするか、もしくは膨大な数のラインナップを揃えてロングテール効果を期待する、というどちらかのモデルしか成り立たないのかもしれません。
コメント