既にいくつか記事を書いていますが、先週の金曜日、セマンティックWEBコンファレンス2006に出席してきました。プログラムとしては理論半分、実例紹介半分といったところだったのですが、実例紹介も理論面の解説を重点的に行うものが多く、理論80%/実例20%ぐらいの印象でした。
セマンティックWEBについては、残念ながら議論できるほどの知識がありません。そこで一日講演を聞いただけの、ごく個人的な感想を少し。
セマンティックWEBは、その目指すところや基本的な思想については明らかなものの、実現には複雑な理論を使いこなすことが要求されます。「複雑」というと語弊があるかもしれませんが、例えばHTMLはごく簡単な構造だったために個人レベルでのWEBサイト構築が促され、結果としてインターネットの繁栄がもたらされました。同じような「草の根」的発展をセマンティックWEBに期待することは無理でしょう。開発者には理論の理解力と、それを開発に結びつける技術力が要求されます。
またセマンティックWEBが活用されるためには、「セマンティック化」が実現するだけでなく、具体的なアプリケーションが開発されなければなりません。「セマンティックWEB」と「WEBサービス」が実現されて初めて、ユーザーに利益がもたらされるわけです。コンファレンスに出席して最も強く感じたのは、現状は「セマンティックWEB」もしくは「WEBサービス」どちらか一方の開発は進んでいるものの、もう片方の開発が遅れている分野が多いということでした。例えば実例紹介では、「セマンティック化に力を入れているものの、具体的なサービスイメージがつかめない」「具体的なサービスが実現されているが、その前提となるセマンティック化の道程が示されていない」というものがいくつかありました。
理論の構築/標準化が重要だということはよく分かりますが、サービスを使う立場の人間としては、早く具体的なメリットを見せて欲しいというのが本音です。その意味で、「ユビdeコミミハサンダー」を開発された東芝の方が
大きなビジョンを描いても、誰もついてこない。
「0.1歩的な、すぐ使えるサービスを」と考えて開発した。
とお話しされていたことに共感しました。セマンティックWEBを理論から現実のものとするためには、たとえ小さなサービスであったとしても、具体的な「セマンティックWEBサービス」を少しずつ実現していくしかないのではないかと思います。メリットが目に見えるようになれば、ユーザーのニーズが高まり、ベンダー側にモチベーションを与えることにつながっていくでしょう。
コンファレンスでは、「セマンティックWEBの基礎技術は完成した。今年は具体的なサービスが実現する年だ」との発言もありました。その言葉通り、今年は「セマンティックWEBサービス」と呼ぶにふさわしいWEBサービス/アプリケーションが登場することを期待します。
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