2006年に流行したWEBサービスのキーワードと言えば、「地図」「画像(動画)」「ユーザー参加」が挙げられるでしょう。その意味でこのサービスは、非常に今年的と言えるかも:
■ Geograph
Data Mining 経由で知ったサービス。アイデアはシンプルで、投稿された写真を集めてイギリスの地図をつくろうというもの(12月26日現在で投稿ユーザー数3,132、投稿画像数295,340、イギリス全土の45.8%をカバー)。まさしく「地図」「画像」「ユーザー参加」の3拍子揃ったサイトです。
上記のリンク先から右上にある地図をクリックすると、地図が拡大され、無数の赤いピクセルが表示されます。この1つ1つのピクセルが画像を示していて、どんどんクリックしていくと個別の画像にたどりつく・・・という仕組み。例えば以下は、スコットランドにある街 Fort William 付近の拡大図。画像がある部分にはサムネイルが表示されていて、まだ投稿されていないピクセルは緑、水面は青で表示されています:
ここでサムネイルをクリックすると、オリジナルの画像を見ることが可能(同じ地点に複数の写真が投稿されている場合には、さらに投稿画像のサムネイルが一覧表示される)。個別画像ページでは、画像投稿者が他に撮影した写真が確認できたり、投稿者にコンタクトが取れるなど、一般的なコンテンツ共有サービスと同じ機能が揃っています。またキーワード検索ができたり、緯度経度を入力してピンポイントで好みの地点にジャンプできるなど、ナビゲーションがきちんと用意されています。
地図上に画像をプロットするというのは珍しいアイデアではありませんが、地図上にグリッドを置いて、ピクセル画のように写真を並べるというのは面白いですね。またこれは想像ですが、「まだこの地点に画像がありませんよ」という風に表示されると、「よーし、それじゃオレが次の休みにでも撮影してくるか」という気分になるのではないでしょうか。実際、トップページには「最近画像投稿があった地点」「現在のカバー率」など地図の完成を煽るようなメッセージが表示されており、「力を合わせて地図をつくる」というのが1つのモチベーションになっているのではないかと思います。
以前「あるお題に答えるかたちで画像を投稿する画像共有サイト」についてエントリを書きました:
■ 画像共有+コンテスト = "fotograb"
画像共有サービスはもはや珍しいものではなく、何か「ひねり」がなければユーザーを引き付けることはできない。そこで fotograb では、一種のゲーム感覚で画像を投稿させることを狙っている -- という内容でしたが、今回の Geograph は「地図をつくろう」「イギリス全土の写真を撮ろう」と使命感に訴えることで投稿を促しているのではないか、と思います。使命感というのが大げさなら、何か不揃いなものがあると、ついつい全てを集めたくなってしまうというコレクターの心境、とでも言えるのではないでしょうか。
仮にすべてのグリッドが埋まったとしても、時間の要素を取り入れる(「四季の写真を揃えよう!」「夜景を入れよう!」など)ことで人々のやる気を継続させることができるはずです。意外にこの「みんなの力で○○を完成させよう!」型プロジェクトは応用がきくのではないでしょうか。
ちなみにData Mining の記事 では、全世界に存在する「緯度と経度が交わる地点」の写真を集めようという"Degree Confluence Project"も紹介されています。これはさすがに難しいだろ、と思ったら、しっかり日本の画像もアップされてます。やっぱり人間は、挑発されると意味なくチャレンジしたくなる動物なのかも・・・。
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