"greenwash"という単語を聞いたことがあるでしょうか。スペースアルクによる説明を引用すると、
〔企業・組織が〕グリーン[環境保護]を考慮していると世間に思わせるために偽情報[虚報]を流布すること
とあります。最近この"greenwash"を海外の記事でよく目にすることがあるのですが、日本も例外ではありませんよね。例えば「地球に優しい」というキャッチフレーズですが、よく考えるとこの言葉、具体的な内容は何も示していません。ということで、そんなデタラメにごまかされないために、参考になる記事をちょっとご紹介:
■ Six Sins of Greenwashing (TerraChoice)
TerraChoice Environmental Marketing というマーケティング会社が発表した、企業が"greenwash"する際のテクニック6つ。早速内容は、というと……
*****
1. トレードオフを隠す
1つの要素だけ見ると「環境に優しい」のだが、裏にトレードオフが隠されている。例えば、ある紙が「『持続可能性を考慮された森林』から伐採された木でつくられている」としても、製造過程や輸送過程でより「環境に優しくない」行為が行われているかもしれない(遠くから運ぶことでより多くのCO2を排出しているかも……)。
2. 証拠を示さない
「この製品は動物実験を行っていません」などという宣言はあるが、その証拠が示されていない。ウェブサイトでの情報公開や第三者機関による認定など、様々な方法があるはず。これは私たち消費者の側も、「~って書いてあるんだから本当だろう」と企業の言うことを鵜呑みにしてしまうという点にも問題がありますね。
3. 表現があいまい
「化学成分を含まない/毒物を使用していない」「ナチュラル成分」「環境に優しい」などなど、定義があいまいな言葉でダマす。これもついついスルーしてしまうことのないよう、消費者の側で注意が必要ですね。
4. 無関係な情報
例えば「この製品はフロンガスを使用していません」と書いてあったらどうか。ヘアスプレーであれば意味があるが、整髪ジェルに書かれていても何の意味もない(最初から使用されていなかったはず)。しかし「フロン不使用」などという言葉の価値に目を奪われて、不自然さに消費者が気付かずにいる例がある。
5. 小さなウソ
「有機栽培加工認証(Certified Organic)」など、第三者の認定機関による認証を受けたような表示をしているが、実際にはそのような事実が確認できない。これもちょっと調べれば分かることなのに、わざわざウェブサイトなどで確認しようという消費者がめったにいないことを利用したテクニックですね。
6. 究極の選択
オーガニック・タバコや「地球に優しい」殺虫剤など、そもそも「地球に優しくない」製品カテゴリーで環境保護の姿勢を示すこと。確かに環境のことを考えた製品の方が良いが、逆に「地球に優しいから少し多目に使っても大丈夫だろう」という意識を生む可能性もあり、そもそもそういった製品カテゴリーそのものの使用を控えた方が良い。これは「『ヘルシーなメニュー』ほど太りやすい」にも通じるものがありますね。
*****
ということで、「よく考えれば分かるんだけど、パッと見『これなら大丈夫』という気にさせる」というのが共通するポイントですね。またパステル調の色を使ったデザインにするとか、動物や植物のキャラクターを表面に描くなど、言葉以外のテクニックで「なんとなく環境に優しいかも」という印象を抱かせるということも考えられるかもしれません。
そういえばこのブログ、「Polar Bear (シロクマ)」という名前が付けられ、実際にシロクマのぬいぐるみも登場するし、色合いもブルー系で統一されていて何となくエコっぽい……まさか「環境に優しいブログ」と勘違いされてしまっていないでしょうか。いや、環境破壊は反対ですが、それほどエコな人間ではありません。ごめんなさい。
【関連記事】
コメント