久しぶりに「~の方法」ネタで。Delicious の人気記事を見ていたら、こんな記事がピックアップされていました:
■ THE 10 SIGNS OF INTELLECTUAL HONESTY (The Design Matrix)
When it comes to just about any topic, it seems as if the public discourse on the internet is dominated by rhetoric and propaganda. People are either selling products or ideology. In fact, just because someone may come across as calm and knowledgeable does not mean you should let your guard down and trust what they say. What you need to look for is a track record of intellectual honesty.
トピックが何にせよ、インターネット上の公の場で何かを主張することは、レトリックとプロパガンダに支配されているように感じられる。人々は製品やイデオロギーを売ろうとしているのだ。実際、誰かが落ち着いていて聡明なように見えても、それが彼/彼女の言うことを鵜呑みにして良いということにはならない。目を向けるべきは、知的誠実性が見られるか否かだ。
とのことで、知的誠実性(intellectual honesty)の存在を示す10のサインが述べられています。早速その10個をいつものように意訳&てきとーにまとめてみると:
1. 自説の正しさを見せつけ過ぎていないこと
説得力があるか否かの判断は、提示された証拠に基づくべきである。議論している相手が愚かだとか不誠実だとか罵るようでは、誠実ではない。
2. 自説とは異なる見方が存在することを認めること
他の主張が自説と同じくらい確かだと認める必要はないが、根拠や証拠からたった1つの視点しか導き出されないということはまれである。
3. 自説には前提や先入観があることを認め、それを疑うこと
データを解釈する際には、様々な前提が使われるものであり、先入観から逃れることもできない。
4. 自説の弱点を認めること
どんな主張にも弱点はあるが、イデオロギーを押し付けようとする人物はその弱点を隠そうとするものである。
5. 間違っていたときにはそれを認めること
同じくイデオロギーを押し付けようとする人物は、間違いを隠そうとするものである。些細な部分での間違いも認めないようでは、重要な部分を受け入れてもらうことはできない。
6. 一貫性を見せること
ダブルスタンダードを適用していては、誠実性を感じてもらうことはできない。敵に厳しく、味方に甘いなどということにないように。
7. 人格攻撃しないこと
人格攻撃は知的不誠実性の明白な証拠となるが、往々にしてこれを認識するのは難しい。例えばロジックで反論した後に、ちょっとしたこと(人々のステレオタイプを利用するなど)で相手の人格に注意を向けてやるだけで効果が出てしまうだろう。
8. 事実を曲げないこと
例えば引用を行う際、引用箇所のコンテクストを無視して都合の良いように解釈するなどの行為を行ってはならない。相手の主張を理解し、それを正確に示すように努めているという態度を示すこと。
9. 批判的思考(クリティカル・シンキング)を大事にしていると示すこと
批判的思考の解説についてはこちら。また書店に行けば、「クリティカル・シンキング」と題された本は山のようにありますよね。
10. 自説に対して良い批判が行われた時は、それを認めること
良い批判が行われたのにそれを認めないようでは、誠実に議論する気がないと示すことになる。
……こんな感じ。もちろん他人の誠実性を計ることにも使えるのですが、むしろこのリストは、何かを主張する際に反感を持たれないためのチェックリストになるのではないでしょうか。さらに言えば、単なる「勝ち」「負け」で終わることのない、何らかの結果をもたらすための議論のあり方と言えるかもしれません。
とはいえ、上記全てを守るのは難しいですよね。間違いを認めるのは悔しいし、自分を擁護してくれるコメントの誤りをあえて指摘しようとは思わないし。また「誠実な態度とか、そんなの感じてもらわなくてもいい!とにかくオレを否定したヤツを全面的に論破してやりたい!」という気分になってしまうこともあるでしょう(ソーシャルブックマーク等でネガコメを付けられた時とかね)。そんな時には、「論より詭弁」という態度もありますよ:
■ ネガコメ時代に『論より詭弁』
おいおいどっちだよ、という話ですが。聴衆をテクニックで説得するか、誠実性で説得するか、時と場合によって使い分けられるようになると最強かもしれません。
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