今月のハーバード・ビジネス・レビュー(2006年4月号)、"Brain Food"のコーナーに、「ブログはリーダーの新しい仕事」という記事が載っています。もとはHarvard Business Review 2005年11月号に掲載されたもので、サン・マイクロシステムズのJonathan Schwartzが書いた記事です。
ブログのビジネス活用に興味のある方はよくご存知でしょうが、サン・マイクロシステムズの経営幹部の多くは、自らブログを書いています。例えばこの記事の著者Schwartz氏のブログは以下の通り:
Jonathan Schwartz's Weblog
HBRの記事の中でSchwartz氏は、経営陣がブログを書くことについて次のように述べています:
- 自信のブログでは様々なことをオープンに語っているが、それによって生まれるリスクよりも、ブログを持っていないリスクの方が大きい。
- 10年もすれば、経営陣の大半がブログを通じて、顧客や社員、産業界とコミュニケーションするようになるのではないか。それはEメールのように、個人の好き嫌いの問題とは言っていられない。
- ブログを書くことで、多くの相手とコミュニケーションできるようになるばかりか、企業文化のてこ入れも可能になる。
さらにマネージメント(社長やCOO、CFOなど経営陣が書く)ブログについて、以下のようなアドバイスをしています:
- ブログ作成の戦略とガイドラインを明確にする。(参考として、サン・マイクロシステムズのガイドラインをご自由にお使い下さい、とのこと。)
- ブログを宣伝や広告と考えない。
- 細かいところまで管理しないほうが良い。法務部や広報部が書き込みをチェックする必要もない。基本ルールはシンプルに、あとは自由に書く。
- フィードバックには社内外を問わず、必ず耳を傾けよう。
- 何より大切なのは、ブログを自分で書くこと。
面白いのは、最低限のルールを求めつつ、自由に書くことを奨励している点でしょうか。客観的な企業の活動報告であれば、広報やPRで十分ですから、「ブログは個人の顔を見せるもの」という点を重視しているのでしょう。
以前書いたエントリ(「社長ブログ」は広報にマイナス?)の中で、日本でも社長ブログが少しずつ増え始めているというアンケート結果をご紹介しました。その一方で、同じアンケートでは広報担当者は社長ブログを初めて欲しくない、と思っていることも明らかになっています。「社長にブログなんか始められたら、何を書かれるかコントロールできない」--そんな恐れが広報担当者の中にあるのではないか、と思います。
しかし一方で、Schwartz氏が言うように、今後は経営陣が自らの言葉で語ることが求められるようになるでしょう。それがブログという形式を取るかどうか、どこまでオープンになるかは企業によりけりだと思いますが、経営陣が情報発信の頻度・内容を高めていくことが必要になってくると思います。そんな時、「余計な仕事が増えるだけだから社長ブログには反対」とばかりは言っていられないのではないでしょうか。
実際問題として、いまの企業の経営者層にどれくらい「ブログスキル」とでも言うべきものがあるかどうかは不安です。しかしここは「ブログはリーダーの新しい仕事」と捉えて、経営者層は自分が主体となった情報発信の努力を・広報や秘書の業務に携わる人はそのサポートを積極的に行う必要があると思います。
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