週末なので、例によって心理学系のネタで。仕事の効率を高めたければ、他人が視界に入る状態は避けなければならない……という実験結果が出たそうです:
■ Working Alone May Be The Key To Better Productivity, New Research Suggests (ScienceDaily)
University of Calgary の Tim Welsh による実験について。結論から言えば、「自分の作業とは異なる作業をしている人物が視界に入っていると、作業の生産性が下がる」とのこと。どんな実験だったのかというと:
- まず被験者に、一人だけでコンピュータを使った簡単な作業をしてもらう。
- 次に別の人物を部屋に入れ、被験者の作業に関連しているが内容は異なる作業をさせる。
- しばらくしてから被験者を再び一人だけの状態に戻し、別の人物の作業結果だけが手に入る状況にする。
つまり
- 一人で作業
- 他人と一緒に作業(相手の行動が見える)
- 他人と一緒に作業(相手の行動は見えない)
という流れで作業させたわけですね。その結果、1から2の状況に移ると被験者の生産性は下がり、2から3の状況に移ると再び生産性が上がるという現象が見られたそうです。
この理由について、記事では以下のように説明されています:
The reason for this is a built-in response-interpretation mechanism that is hard-wired into our central nervous systems. If we see someone performing a task we automatically imagine ourselves performing that task. This behaviour is part of our mirror neuron system.
この原因は、私たちの脳に生まれつき備えられている「反応解釈メカニズム」にある。誰かが何かをしているのを見ると、人は自分自身がその作業をしているかのようにイメージしてしまうのだ。この行動は、私たちのミラーニューロン・システムの一部である。
とのこと。ミラーニューロンについてはまだ良く分かっていない部分もあるそうですが、とにかく他人の行動が視界に入っていると無意識のうちに反応してしまうのでしょうね。また面白いのは「行動」ではなく「結果」だけが確認できる状況では、生産性の低下が見られなかったという点。これも同じく「他人の行為が視界に入ること」が問題であることを示していると言えるでしょう。
この実験はあくまでも「仕事の効率」に主眼を置いたものなので、現実に応用する際には、アイデアが刺激される・気分転換になる等の「他人と仕事することによるメリット」も考えなければいけませんが。ただし「この仕事をどうしてもあと1時間で終わらせなければならない!」という場合には、とにかく一人になれる場所を探してそこにこもる、というのが良いのかもしれません。
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