災害発生時の被災状況から、テレビ番組の人気度、そして株価へと影響する世間一般の心理状態まで。いまやソーシャルメディアを監視・分析することで様々な「いま」が俯瞰できるようになっているようになっているわけですが、米国の連邦準備銀行(FRB)までがソーシャルメディアの監視を計画しているとのこと:
■ Federal Reserve Wants to Monitor Facebook, Twitter (Forbes)
『災害とソーシャルメディア』の中でも触れましたが、米国で公的機関がソーシャルメディアに目を向けるというのはこれが初めてではありません。しかし災害やテロ行為などといった分野での利用が主で、FRBまでというのは少し意外な感じがします。
計画の具体的な内容は"Request for Proposal for a Sentiment Analysis and Social Media Monitoring Solution"で示されており、FRB内の「コミュニケーション・グループ」のために行われるもので、ソーシャルメディア上のテキストを分析、話者が特定のトピックに対してどのような感情を抱いているかが分析されるとのことです。で、この「コミュニケーション・グループ」ですが、各種ソーシャルメディアやブログ、YouTube、さらにCNNなどのニュースサイトも含め、世論の反応を探ることが任務なのだとか。
Some are comparing the proposal to counterespionage or surveillance, but the NY Fed says it reflects its commitment to “improving its communications and engagement with the public in order to enhance and improve the public’s understanding of its activities and the role it plays in supporting the U.S. Economy,” according to a Fed spokesman’s statement.
この計画を防諜や監視活動になぞらえる声もあるが、FRBの関係者は単に「米国経済を支えるという我々の役割や活動について、より深く、より正しく理解してもらうために、人々とよりよいコミュニケーションを行う行動の一環だ」と語っている。
とのことですが、先に述べたように「Twitter上の書き込みから世間のムードを把握、将来の株価を占う」という研究も行われており、実際に投資情報企業がTwitter分析をサービスに組み入れるなんてことが起きているぐらいですから、経済に関係する公的組織がソーシャルメディアの監視を行う、というもある意味で当然の流れなのかもしれません。
ただそうなると、米国を混乱させようという国家や組織がソーシャルメディア上でニセの「世論」をつくり出して撹乱する、なんて流れが生まれたりして。そしてそれを防ぐために真偽を判断するアルゴリズムが高度化、ますますネット監視・管理技術が張り巡らされるようになる……というSFチックな妄想はこのぐらいにして、ともあれ社会のいまを探るためにソーシャルメディアに目を向けるという流れは、企業だけでなく政府においても本格化しそうです。
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