最近、乱立している特化型SNS。このブログでもなるべくフォローしていますが、あまりにも数が多く、当然ながら全てはご紹介できていません。ちょうど最近始まった特化型SNSをまとめた記事があったので、ご紹介しておきます:
「洋菓子SNS」も 顧客囲い込みへ導入相次ぐ(ITmedia News)
記事中で紹介されているSNSへのリンク、念のためまとめておきます:
- 洋菓子メーカーのモンテールが始めた「スイーツ探検隊」
- 愛犬家向けSNS「BEAT-kun」
- オタク向けアニメ製作などを行うハイビジョンが始めた、アキバ系専用SNS「Filn」
- 女性向けSNS「SNSジネコ」
他に様々な理由から紹介していなかったSNSとしては、薬剤師向けの「89314SNS」、中古車買取業者のガリバーが始めた「GAZZ!」などがあります。まさに雨後の筍、という形容詞がふさわしい状態です。
こういった特化型SNSが生き残る可能性はあるのでしょうか?記事中では、SNSの構築を手がけるゴールネット株式会社の杉山社長による「SNSは、活発に利用する“インフルエンサー”の存在が重要。彼らを囲い込むことができれば、順調にユーザーを増やせる」というコメントが紹介されています。逆に失敗する理由として考えられるのは、
杉山社長によると、SNSがうまくいかない理由は4つある。(1)多機能すぎて初心者には難しい、(2)楽しみ方が分かりづらい、(3)SNS内に友人が少ない、(4)企業に運営ノウハウがない――だ。
とのこと。個々のSNSはそれぞれ違う環境にあるので、これらの成功・失敗の理由が当てはまるとは一概には言えませんが、納得できるものだと思います。これを元に、例えば失敗する理由の(1)から「初心者に手厚いサポートをつける」、理由(3)から「SNS内で友人ができやすい仕組み(コミュニティやオフ会の主催など)を設ける」などといった施策を考えることができるのではないでしょうか。先日紹介した技術者向けSNS「てくてく.jp」では、大学教授を中心とした「コメンテーター」がコミュニティに参加するとのことですが、これは「活発に活用する”インフルエンサー”」を人工的に作り出す施策と言えるかもしれません(参考記事:Internet Watch/日刊工業新聞社、技術者向けにブログとSNSを提供する「てくてくjp」)。
これに付け加えることがあるとすれば、SNSが成功しやすい分野・しにくい分野というものがあるのではないかと思います。前述の「GAZZ!」はカーオーナー向けのSNSですが、自動車のコミュニティというのは、リアルでもかなりの求心力があります。そういった分野では、SNSも成功しやすいのではないでしょうか(そういえばビジネスブログの代表例である「TIIDAブログ」も自動車のブログでしたね)。
以上を元に、「洋菓子SNS」の未来を占うと・・・どうなるのでしょうか。僕はわりと行けそうな気もするのですが、それは僕が甘党だから?
関連記事:特化型SNSサービスの時代は来るか?
※11月26日追記
てくてく糸巻きさんにトラックバックをいただきました:
ニッチならSNSより掲示板がいいよ(てくてく糸巻き)
ニッチなら掲示板で十分に対応できるし、確かにユーザーにとっては利用しやすい面があると思います。しかし企業にとっては、ユーザーの属性やログイン状況が把握できるSNSという形にした方が何かとメリットがあるので、悪い言い方をすれば「無理矢理」SNSを設置しているのではないかと思います。
またこの記事で@ITにもゴールネットの記事があることを知りました。ありがとうございます。念のためそちらの記事へもリンクを貼っておきます:
これからは、マニア向けSNSを早く開設したもの勝ち?(@IT)
確かにSNSは、利用者が多ければ多いほどその魅力が増すという「ネットワーク外部性」を持つサービスです。従って他社に先駆けてサービスインし、一人でも多くのユーザーを裂きに獲得することが成功の第一条件だとは思うのですが、
モンテールのSNSサイト「スイーツ探検隊」のケースでも、9月13日にプロジェクトがスタートしてから、デザイン選定やサイト名、サーバ手配、SNSの使い方などの決定期間を含めて、9月25日には事前会員の募集を開始。実質2週間程度でサイト開設に至ったとした。
実質2週間というのはかなりの短さですね。もちろんプロジェクト開始以前からサービスの位置付けや戦略などが議論されていたのだと思いますが、「とりあえず一番乗りを第一に考えた」という結果ではないことを祈ります。
・・・とコメントだけでも何なので、ちゃんと「スイーツ探検隊」に登録しました。
利用者の皆様、見かけたら友達登録をよろしくお願いします。
記事を読んで頂いて、こちらこそありがとうございます。
「ログイン状況」はともかく、「ユーザーの属性」については、いまの掲示板ではそこまでつっこんだシステムはあまり見たことがありませんが、掲示板であってもハンドルネームで検索すれば掲示板での個人の活動状況が把握できますし、定期アンケートをとったりすればいいだけの話であって、使いやすさ(わたしの考えるのは主に話題の共有と一覧性)を犠牲にしてまでSNS(コメントやTBしないと繋がらない)にする必要があるのかなと思います。
具体的には、知識plus(Hangame)が頭にあって記事を書いています。
ここの記事の「杉山社長によると、SNSがうまくいかない理由は4つある。」には、「元々広がりがあるネタじゃない」(おいしいね、あるいはこれが好きです、だけで終わってしまう)という視点が欠けていて、はじめにSNSシステムありきで話をしている点が妙に気になります。
やっぱりセールストークだと思うんですけど。
投稿情報: itochan | 2005/11/26 17:16
コメントありがとうございます。
そうですね、掲示板でも工夫次第で十分個人を把握できると思いますが、SNSが流行ということもあって「それならSNSを導入だ!」という感じになっているのかもしれません。SNSでしかできないこともあると思いますが、そこまで機能を活用しようとして導入してるとも思えませんしね。
杉山社長の話が「SNSありき」という雰囲気になってしまっているのは、ベンダーですから仕方ない面もあると思います。少なくとも作り逃げをするような印象は受けなかったので、僕としては「お手並み拝見」といったところです。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/26 18:26