先日、IBMがBlogosphereを監視するツールを発表したという記事を書きましたが(参考記事:IBMがブログ監視ソフト発表)、それに対していくつか疑問が投げかけられているというニュースがありました:
Some skeptical of IBM's blog monitoring software | News.blog | CNET News.com
Blogosphereの反応をまとめると、以下のようになります。
- 社員のブログを監視するツールとなってしまわないか。それによって、自由な発言が阻害される恐れがある。
- 押さえ込みたい発言をしている記事、あるいはスパムトラックバックしたい記事を見つけるツールになってしまわないか。
- そもそも、大企業がユーザーの一喜一憂に付き合う気になるのか。
最後の「そもそもそんなツール使うの?」という疑問は別にして、確かに監視ツールの性能が上がれば、探しているブログをピンポイントで発見するツールになるかもしれません。悪意のある例えかもしれませんが、それは「Blogosphereにおける盗聴器」のような存在になって、ネガティブな発言をするブログはすべて匿名投稿になってしまうかもしれませんね。(筆跡鑑定のように「ブログ文体鑑定」のようなツールが生まれたら、「この匿名ブログの書き方は○○さん(社員)の特徴と一致する」なんてことになって、匿名ブログすら難しくなるかもしれませんが。)
Blogosphere分析ツールが、個人レベルでの監視を行えるようになるのは、まだまだ先の話かもしれません。しかし今でも、例えばBlogWatcherなどのツールを使って、ある製品に対するネガティブな書込みをしているブログ記事をピンポイントで見つけることができます。(下図はBlogWatcherで「Walkman」の評判分析を行ったもの。実際のページでは、グラフをクリックすることで個別記事までドリルダウンすることができます。)
以前、個人の人間関係を分析しようという学問(Socail Network Analysis, SNA)があることをご紹介しましたが(参考記事:ナレッジ・マネジメントのインフラとしてのSNS)、ブログやSNSなどにより、個人の意見や交流関係を電子的に把握することが可能になってきています。Blogosphereのマクロ的に俯瞰するツールは、マイクロ的な監視ツールとなる可能性があることを理解し、それがブログによる情報発信にどう影響を与えていくのかを考える必要があるのかもしれません。
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