CNETセミナーまとめ(3)は午後のパネルディスカッション、「立ち上がるブログ検索関連市場」について。
このタイトル、すごく微妙なネーミングだと思います。将来性が明らかなモバイル検索については、パネルディスカッションが「モバイル検索の可能性」と銘打たれていたのに対して、ブログ検索には「立ち上がる」--裏を返せばまだ立ち上がっていない--という形容詞が付いています。勘ぐりすぎかもしれませんが、以前も紹介したこんな記事もあることですし:
How are people finding blogs? It’s not blog search engines (Scobleizer)
モバイル検索が、各社「トップを目指すぞ!」と気合を入れて取組んでいるとしたら、ブログ検索は「始めてみたのだが・・・」というような気持ちでいるような印象を受けました。
個人的な印象はさておき、いくつかポイントをまとめると、
- 各社温度差はあるが、ブログの爆発的な流行を受けて、インデックス対象ブログ数を拡大しようとしている。
- ブログの速報性については言及があったものの、「だからうちはインデックス化の速度にこだわっています」というようなアピールは特になかった。Ask Jeevesがプレゼン中に触れていた程度。
- ブログ検索のユーザー層と通常のWEB検索のユーザー層には、明らかに違いがある。各社の表現をかりると、「濃いユーザー」「リサーチ目的の人」「旬のネタを探している人」「マニアック」などなど。
- ブログ検索により、サイト内の回遊率が上がっている。例えばAsk Jeevesでは、WEB検索/ブログ検索を行ったり来たりして使うユーザーが全体の50%程度存在するとのこと。
- サイト全体として回遊率を上げる以外に、ブログ検索をビジネスに結びつける手段としては、①広告配信を行う②検索エンジンを他サービスに提供する③ブログ検索結果を加工して、企業のマーケティングツールとして提供する・サイト内コンテンツとして提供する、などが考えられる。
といったところです。で、ブログ検索結果をいかに工夫して、ユーザーが価値のある記事を見つけやすくするのか?という質問については、
会場からは、「時系列順がスタンダードであるブログ検索の中で、いかにユーザーへ価値ある情報を提供できるのか」との質問も寄せられた。アスクジーブスの 樋口氏は「いかにブログの話題の連鎖を追跡するかなど、当然ながら技術的なチャレンジは進めている」と回答。NTTレゾナントの内山氏は「gooブログで のブログディレクトリ構築という取り組みも進めている。また、ユーザーの視点に応じた検索を容易にする仕組みも考えていきたい」とした。
(BroadBand Watch -- 【CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn】ブログ検索事業者が語る「ブログ検索市場の未来」)
という反応でした。また明確に述べられたパネラーの方もいらっしゃいましたが、ブログ検索以外のサービスも提供されている企業では、「ブログ検索をどのように位置付けるか」という点で苦労されているようでした。
ブログ検索は
- ブログの内容は個人的なものがほとんどなので、多くの人が見たいコンテンツを見つけるのが難しい
- ブログ自体が日本ではまだ「単なる個人的な日記」程度にしか認識されていないので、あえてブログ検索エンジンを使おうという人が少ない
- スパムブログを検索結果から除外しなければならない
という難しさがあると思います。クチコミ情報が欲しければ、各ECサイトのレビュー欄のデータをサーチした方が早いですし、正確なニュースが知りたければ、ニュースサイトの検索の方が良い結果が得られますしね。本当にブログ検索でないと欲しい情報が手に入らないというシチュエーション(さっき終わったばかりのテレビ番組の感想が今すぐ知りたい!など)は、少なくとも現状ではあまりないと思います。ブログ検索を通じて、何か役に立つことがあったという経験を多くの人々が積むようでないと、日本でブログ検索サービスが「濃いユーザー」以外の人々にも普及することは難しいのではないでしょうか。
そう考えると、ブログ検索が普及するためには検索エンジンの機能が充実するだけでなく、Blogosphere全体の質の向上も必要なのかもしれません。価値のあるブログが増えてくれば、それにアクセスする手段としてのブログ検索サービスの利用も増えてくるでしょう。その意味では、テクノラティ・ジャパンが実施した「総選挙特集」のように、ブログ文化を育むような施策が実は有効なのではないでしょうか。
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