「顔付きメール」と書くと何か不思議な感じがしますが、実は顔とメールは深い関係だったりします。メールに「顔文字」を付けることはごく普通ですし(僕はしませんよ (^∇^)ノシ)、Outlook 2003を使われている方は「似顔絵作成機能」があることをご存知でしょう。そう考えると、既に「顔付きメール」は実現していると言えます。
実は今日の日経産業新聞に、「顔付きメール」をさらに進化させる技術があることが紹介されていました:
■ この企業に注目 英・DAグループ 原稿を読むアニメキャラ -- 3D技術でリアルな表情(日経産業新聞2006年3月31日第4面)
「PC上でテキストを読み上げる3Dキャラ」を作成する技術を開発している、DAグループ(DA Group)という企業についての解説。なんでも文字や声で文章を入力すると、それを言葉ごとの音声に分解してスピーチとして再合成し、そのスピーチに合わせて3Dキャラを動かすという技術なんだそうな。文章を入力してからアニメが完成するのにかかる時間はわずか数秒で、声を合成する技術以外は自社開発した技術を使っているそうです。また記事によれば、2Dでの類似技術はあるものの、3DでしかもWEB、携帯電話、双方向テレビといったマルチメディア対応をしている技術は他にない、とのこと。
実際にDAグループのホームページにアクセスすると、右のようなキャラクタが表示され、クリックするとスムーズな動きを見せてくれます。入力したテキストをどこまで正確に読み上げ、表情豊かに表現してくれるのかは分かりませんが、3Dキャラ作成技術には確かなものがあるようです。既に携帯電話で送ったテキストメッセージを動画と音声に変換して送るサービスも始めている、とのこと。
ちなみにDAグループの技術が使われている"Yomego"というサービスがこちら:
■ Yomego
この「テキストに人間の表情を与えて表示する」という技術、単に娯楽的な要素しかないのかというと、どうやらそうでもないようです。以前もお話しましたが、最近『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』という本を読んでいます。それによると、人間は他人の表情から感情に関する多くのデータを読み取っているとのこと。また人間は他人の表情を「意味を持つもの(=机やイスなどの無意味な物体ではないもの)」と理解し、無意識のうちに視線を合わせてしまうそうです。つまり対面で行うコミュニケーションにおいては、人間は言葉として発せられた情報に表情から感じられる情報を合わせて、相手が何を言わんとしているのかを把握しているのです。
であれば、テキスト情報に豊かな表情が追加されて発信されることは、デジタル空間でのコミュニケーションの質を上げることになるかもしれません。実際、日経産業新聞の記事の中でDAグループの創業者であるマイク・アントリフ社長は、「バーチャルキャラクターを介在させると、(情報機器を通じたやりとりに)みんなもっと興味を持ちます」と効果をアピールしています。確かにメールで「今日は嬉しかった」とお礼を言うよりも、「今日は嬉しかった(^∇^)ノシ」という表現、さらに「今日は嬉しかった(と表情豊かに喋るバーチャルキャラクター)」の方が気持ちが伝わるでしょう。
ただその一方で、細かなニュアンスまでバーチャルキャラクターが表現できるのか、という懸念もあります。先の『第1感』に出てきた研究によれば、人間の表情は約4,000通りもあるんだとか。その微妙な機微までも表現できなければ、意図していた感情と異なる感情が相手に伝わってしまう、という恐れもあるに違いありません。それが単に新しい技術に対する恐れ、というなら良いのですが、バーチャルキャラクターを通じたコミュニケーションがどんな効果をもたらすのか、十分に調査してみる必要はあると思います。
この種のバーチャルキャラクターは、日本の方が進んでいる部分も多いでしょうから、何か面白い活用法や研究結果が出てくることを期待したいですね。
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