報酬と引き換えに、企業の指示通りのブログを書くことは是か非か -- あるサービスの登場をきっかけに、議論が巻き起こっています:
■ PayPerPost.com offers to sell your soul (TechCrunch)
日本語版はこちら:
■ PayPerPost.com あなたは魂を売るか?(TechCrunch Japanese)
お金を払って自社/自社製品・サービスの記事を書いてもらいたい企業と、報酬を得たいブロガーとをつなぐマーケットプレース・サービス"PayPerPost.com"について。見ての通り TechCrunch はこの動きに対して批判的で、他にも BusinessWeek で「ブログ界は汚染された」と題された記事や:
■ Polluting The Blogosphere (BusinessWeek)
Publishing 2.0 で「我々全員が汚される」という記事が出ています:
■ PayPerPost Will Taint Us All (Publishing 2.0)
確かにジャーナリズムへの対抗軸として捉えられることの多いブログに対して、「報酬を得て記事を書く」という発想を持ち込むことに拒否反応が強いことは分かります。今回の PayPerPost のシステムが、企業からお金を得ていることを必ずしも明らかにしなくても良い(ブロガー個人の判断に任される)点も問題視される理由の1つでしょう。しかしそれによって、「ブログ全体の信頼感が失われる」というのはちょっと言い過ぎのような気も・・・。個人的には、Postbubble に出ていた記事の意見が一番しっくりきました:
■ Pay per post isn’t evil, it’s a failure (Postbubble)
確かに「ブログで一儲けしたい」と考えている人間は既に大勢いるわけで、その意味で PayPerPost は邪悪な存在と言うよりも、単に企業とブロガーのニーズをうまく利用するサービスだと思います。しかし多くのアフィリエイト・ブログ(アフィリエイトで儲けることを目的としたブログ)が読者を集めることができないように、「報酬を得るために企業(もしくはその製品/サービス)に好意的な意見を書いてます」という雰囲気が感じられた時点で読者は去って行きますから、企業が求めているようなクチコミ効果は得られずに終わる -- 従って PayPerPost は失敗する -- という予想が最もあり得るのではないでしょうか。
今回の PayPerPost では報酬の有無は非公開、というか PayPerCost を利用しているかどうかすら非公開になるようですが、多くの「隠れビジネスブログ」がささいなきっかけて炎上すること(その一例はこちら)を考えると、PayPerPost を通じて書いた記事かどうかはある程度分かってしまうのではないでしょうか。仮に日本で同様のサービスがスタートしたら、2ちゃんねる辺りに「PayPerPost 利用者を晒すスレ」とかできて、魔女狩りが始まるような・・・。その意味では「ブログ界が心配」というよりも、「PayPerPost を利用したブログ/企業の方が心配」という気がします。特に企業にとっては、こんなサービスを利用している時点で「自社には健全なクチコミを起こす能力はありません」と宣言している等しいのでは。
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