WEBの活用により、様々な作業を効率よく進めることが可能になりました。しかしそれがあまりにも身近な存在となってしまったために、WEBがいかに私たちの生活を効率化しているかということにはあまり意識が向けられません。そこで逆の発想をして、WEBに「不便さ」を持ち込んでみようという人々が現れました:
■ Real snail mail (we make money not art)
様々な「あえて不便にしたIT」を紹介している記事。"snail mail"とは通常の郵便のことを指す言葉で、Eメールと対比させるために使われます。普通郵便はEメールよりもずっと遅く、かたつむり(snail)のようだということから(ついでに韻を踏んでいるので)"snail mail"なのですが、本当に snail にメールを届けさせようなんてアイデアが紹介されています。
まあ、そんなアイデア(Real Snail Mail)は冗談に近いものだとしても、後半で紹介されているこちらのプロジェクトは、なかなか興味深いものがあります:
■ SLOWEB
文字通り slow な WEB を目指すということで"SLOWEB"と名づけられたプロジェクト。マグカップをマウスにして、カーソルを素早く動かせないようにする(中身の飲み物がこぼれてしまうので)+コーヒーブレークを取りやすくすることで作業がスローダウンするという Mug Mouse や、検索するためには待ち行列(queue)に並んで待たなければならないという Gooooooooogle など、ユニークなアイデアが紹介されています。
中でも僕が気に入ったのは、Slow Mail というアイデア。これはメールクライアントにアドオンする機能というイメージなのですが、送られてきたメールに以下のような情報を添付してくれるというもの:
- そのメールを書くのに、相手がどれくらいの時間をかけたか
- 相手がメールを送った場所から、自分が受信した場所まで、どのくらいの距離があるか
- そこまでクルマで行くとどれくらいの時間がかかるか
- 普通の手紙だとどれくらいの時間がかかるか
例えばサンプルの画面では、こんなメッセージが表示されています:
送信者 Kim Meiler は、8時間35分かけてこのメールを書きました。
メールが発信されたのはデンマークの Kolding で、ここから直線距離で697km離れています。
車で行くとなると、ここからは1,226km離れており、およそ13時間42分かかります(ドライブルート検索はこちらをクリック)。
このメールを郵送した場合、到着に3-4日かかります。
こんな情報が表示されていたら、否応なくEメールの「ありがたさ」というものが体感できますよね。毎日の仕事でやり取りするメールには必要ありませんが、例えば出張で海外に出ているときに、日本にいる家族や友人から届いたメッセージに「これは○○km離れたところから送信され・・・」と表示されていたら、嬉しさも倍増するのではないでしょうか。
おそらくまだアイデアレベルの話で、こんなツールはどの企業も実現していないと思いますが、例えばSNS内のメッセージ機能ならある程度実現が可能なように思います。またGPS機能付きケータイ同士でのメールのやり取りであれば、「自分の送ったメールがどのくらいの距離を越えて相手に届いたか」は表示可能だと思うのですが、技術的に難しいのでしょうか?
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