週末に Techmeme をチェックしようなんて奇特な人はあまりいないと思いますが(特に仕事しているのでもなければ)、この土日である騒動が起きていました。以下は Techmeme 6月24日午後12時(日本時間)版へのリンク:
■ Techmeme @ 11:00 PM ET, June 23, 2007
トップにある話題、"RELATED"記事が11コもありますね。いったいどんな論争だったのか、詳しくは BuzzMachine にまとめられています:
■ Buying their voices (BuzzMachine)
逆に詳細すぎて非常に長いのですが、以下に要点をまとめます:
- 米ブログネットワーク Federated Media (参考記事)がマイクロソフトの広告キャンペーン"People Ready"を支援するサイトをスタート(5月上旬から?)。ネットワークに参加しているブロガーに「あなたのビジネスが People Ready だと気づいた瞬間は?」という質問に回答してもらい、そのコメントを掲載するというもの(ちなみに読者が新しい回答を投稿することも可能で、個々の回答には投票も可能)。
- さらにコメントを引用したバナー(Valleywag にその画像が掲載されています)を作成し、ネットワーク参加ブログに掲載していた模様。後述の通り、既にこのバナー広告は停止されているので、実物は確認できず。
- 先週金曜日(日本時間だと土曜日の早朝)に Valleywag が"Microsoft pays star writers to recite slogan"という記事を掲載。タイトルの通り、「マイクロソフトがお金を払ってコメントを書かせたんじゃないか?」とこのキャンペーンを非難するもの。
- Valleywag の指摘に対し、Om Malik、Richard MacManus、Mike Arrington など同キャンペーンに「参加」していたブロガーが次々に反論。「だいたい何で2ヶ月近く行っているキャンペーンにいまさら噛み付くんだよ?」という意見も。
- しかし Om Malik が Federated Media に対し、バナー広告の掲載停止を依頼。他の Federated Media 参加ブログでも掲載されていない模様。
- 当事者の Federated Media も反論を掲載。"The only money they get from Microsoft is from ads running on their sites, for which they're paid by the page view."と疑惑を否定。
- さらに部外者も盛んにエントリして大論争に。
という感じ。問題は
- Federated Media の"People Ready"支援キャンペーンに参加したブロガーは、コメント提供に謝礼をもらっていたのかどうか。それとも Om Malik が証言しているように、CPMベースでの広告掲載料だけだったのか。
- たとえコメント提供に対する謝礼が無くても、このようなキャンペーンは読者に誤解を与えるのではないか。
という点でしょうか。
上記のうち、1.についてはさすがに謝礼を受け取ったということは無いのではないかと思います。キャンペーンに参加しているのはネットの世界に精通したブロガーばかりですし、「カネで心を売る」ようなことをしたらどうなるか分かっているでしょう(そもそもそんな事をする人々ではないはず)。しかし手にしたのが広告掲載料だけだったとしても、マイクロソフトからお金を得ていたのは事実ですから、マイクロソフトのキャンペーンに参加することは「彼らの心証を良くするため(そして将来の広告出稿を保証するため)」と疑われるリスクがあると心得ておくべきだったと思います。
2.の点についても、参加ブロガーはもっと慎重になるべきだったのでしょう。「マイクロソフトの個別製品ではなく、"People Ready"というキャンペーンについてコメントしているだけだ」という反論がなされていますが、例えば「全てのビジネスが人(people)に関係しているのだ。人抜きでは、企業も、アイデアも、経済も、ビジネスもあり得ない。」などという Om Malik のコメントが掲載されている"People Ready"バナーがあれば、思わず「続きを読む」をクリックしたくなるはず。そしてこのキャンペーンに対する好感度・ひいてはマイクロソフトに対する好感度が上がるはずです(だからこそこんなブロガー参加型広告が実施されたはず)。これまた「広告主であるマイクロソフトに加担している」と考える人がいてもおかしくないのでは。
個人的には、今回の Federated Media の"People Ready"サイト、面白い試みだと思います(良し悪しの判断は保留させて下さい)。しかしはからずも大論争を巻き起こしてしまったということは、この試みが、ブログの登場によって曖昧になった「広告の境界線」に立っていると示しているのでしょう。繰り返しになってしまいますが Federated Media、並びに参加ブロガーは慎重になるべきだった、というのが僕の感想なのですが、皆さんはどう思われますか?
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