「大学の授業で使うテキストって、何でこんなに高いの!?」というのは、学生なら誰もが一度は感じる(であろう)悩み。海の向こうでも事情は同じのようで、その対策として「オープン・テキスト」という発想が生まれているそうです:
■ Online 'textbooks' see college doors opening (USA Today)
その名の通り、オープンで誰もが自由に(もしくは安価で)利用できる「オープン・テキスト」というものが推進されていることについて。オープン・テキストの多くはオンラインで公開されていて、講師や学生が好きな部分をカスタマイズ/ダウンロード/プリントアウトすることが可能とのこと。大学等で行われている授業を、そっくりそのままオープンにしてしまう(使用したテキストやマテリアル、授業を収録したビデオ等を閲覧可能にする)「オープン・コースウェア」という取り組みがありますが、これはそのテキスト限定版とでも言えるでしょうか。
実際、オープン・テキストを集めたこんなサイトも登場しています:
また以下は USA Today の記事で紹介されていたものですが、通常は150ドルを超えるようなテキストを、20~40ドル程度で提供してくれるというサイト(2009年1月スタートを予定しており、現在は事業の解説のみが掲載されています):
さらにオープン・テキストの発想に共感し、自著を通常の出版ルートに載せるのではなく、オープン・テキストとして自由に使える状態に置く研究者も出始めているとのこと。
オープン・テキストはオープン・コースウェアと違い、学生/講師自身が授業の組み立て方を考える必要がありますが、逆にその分自由度が高いと言えるかもしれません。例えば「私はこのオープン・テキストを使って、こういう授業をしました」というノウハウを共有するサイトが出てくれば、高いテキストを購入しなくても効果的な授業ができるようになるでしょう。
それで思い出すのが、子供を学校に通わせずに教育する「ホームスクーリング」をサポートするサイトが盛んになっている、という話:
■ 優等生は学校に行かない時代 (Polar Bear Blog)
これは義務教育を念頭に置いた話でしたが、例えば高等教育において同じ発想が普及したらどうでしょうか。「この内容を学ぶために、こういうカリキュラムを組みました」「こんなマテリアルを作成しました」という知識を教え合うことができれば、いわゆる集合知的な形で、優れた学習法を皆で・オープンに構築するということが可能になるかもしれません。一流大学の教授法には敵わなくても、いいかげんな専門学校よりよっぽど優れたレッスンを自前で用意する、なんてことができるようになったりして。
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■ Kindle が大学のテキストに使われ始めている件 (シロクマ日報)
授業で必要なテキストは、オンラインで公開されているものを端末にダウンロードして利用する。テキストにはお金が一切かからない――というスタイルが定着するかも?
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