最近はてなで人気のこの話題について:
■ 新公式:儲かるWebサービス≒はてブされにくいサービス
■ ネットでお金を落としてくれる人向けのサービス傾向を4つほど書いてみる。
(Venture View)
基本的に同意です。「(はてなに限らず)ネット上での人気=金」と誤解してはいけない、というアドバイスと読み取りました。
ただ個人的には、はてなユーザーだから釣ってはいけない、ということはないと思います(最初の記事のタイトルはそれこそ「釣り」が半分なのでしょうけれど)。間違いは「アクセスを金と見間違えること(あるいは将来お金に換えられるという根拠のない期待を抱くこと」であって、「誰に、何に対してお金を払ってもらうか」を考えるのが全ての基本なのではないでしょうか。
はてなユーザーは新しいもの好きで、いわゆる「ガジェット」と呼ばれるものにお金を払う傾向があるとしましょう(本当かどうかは知りません)。彼らの行動パターンや趣味嗜好のデータは、ガジェットを開発・販売する企業にとって喉から手が出るほど欲しいものになるはずです。ならばはてなユーザーが好みそうなサービスを開発し、そこで得られた行動データを分析して、それを欲しがっている企業に(もちろん法律上問題が無いように手はずを整えた上で)売ることで収益を上げるというモデルが考えられます――それが倫理的に許されないというなら、サービスを立ち上げた後で企業に売却したり、そもそも企画だけを売る/コンサルテーションするといった道があるでしょう。
言い訳しておくと、そんな選択肢がどれほど可能性のあるものかは分かりません(悪しからず)。言いたいのは、繰り返しますが「誰に、何に対してお金を払ってもらうか」を考える必要がある、という点です。誰を釣るかじゃなくて、釣った後どうするか。別に釣った相手からお金をもらうんじゃなくて、別の誰かからもらっても良いわけですよね(上記の例の通り、それは必ずしも広告モデルであるということを意味しません)。逆に釣った後の可能性が見えているなら、釣らない方が良い人というのはいないのではないかと思います。もちろん犯罪者や弱者など、倫理的に問題があるケースを除いて、の話ですが。
ちなみに。今年2月に発表された論文なので、もう皆さんご存知だと思いますが:
■ Free! Why $0.00 Is the Future of Business (Wired)
がこのテーマでも参考になると思います。『ロングテール』で一躍有名になったクリス・アンダーソン氏が、もうすぐ出す(出した?)はずの新刊の内容をまとめたもの。ここで彼は、「無料ビジネス」のビジネスモデルとして可能性があるものを、次の6つにまとめています:
1. フリーミニアム(フリー+プレミアム)
一般機能は無料で使えるが、プレミアム機能を有料にして、そこで儲ける。
2. 広告
これは説明不要ですね。利用者ではなく、「利用者の気を引きたい誰か」にお金を払ってもらうモデル。批判も多いですが、サイト利用者の特性を把握して広告枠を売りやすくするなどの工夫をすることで、脆弱性を回避することもできるはず。
3. 補助金
無料で集まってきた人々に対して、別のモノ/サービスを売りつける。無料ではありませんが、似たモデルとしてカミソリ(本体をごく安くして、替刃で儲ける)やプリンタ(同じく本体をごく安くして、インクで儲ける)が有名ですね。
4. ゼロ限界費用
適切な訳語が考えられなかったので、タイトルは直訳です。要は音楽配信のように、ユーザー一人当りに換算するとごく微々たる額になるものを、ゼロ円で配布してしまうこと。で、集まってきた人に対して何かを買ってもらう(コンサートのチケットとか)という話なので、3.の変形版とも言えるのですが。
5. 体で払う
タイトルは意訳です。ユーザーがあるウェブサービスにアクセスし、それを利用すること事態が、換金可能な何かを生み出すというモデル。上記の「ユーザーの行動データが企業に売れる」という例もこの一種です。Google Image Labeler の話も、「ゲームを無料で楽しんでいるユーザー達が、Google が本来必要だったイメージ検索の精度向上に伴うコストを浮かせている」と考えれば、このパターンに合致していると言えるでしょう。
6. ギフト
これもタイトルで想像できるかもしれませんが、オープンソースや Wikipedia のように、ユーザーに無償で参加してもらって何かを作ること。できたモノを勝手に売ることはできませんが、本来であれば実現に多額のお金が必要だったモノが、無料で手に入ることになります。
……この辺を参考にして、「あんな奴らを釣ってもビジネスにならない」とされている領域でビジネスモデルを考えてみる、というのも面白いのではないでしょうか。
最近のコメント